2025年5月31日土曜日

就活物語「面接の前に、あと一言」

就活物語
「面接の前に、あと一言」


「先生、一次面接、落ちました。」

就職指導室にふらりと現れたのは、リナだった。控えめで真面目な学生。授業の出席も実習も完璧で、教員の間でも「手がかからない優等生」と評判だった。

「そうだったの…何があったのかな?」

「えっと…『あなたの強みを教えてください』って聞かれて。すぐに出てこなくて、とにかく“勉強を頑張ってきました”ってだけ伝えて…」

リナは、俯きがちに話した。

私は、実習担当の先生から聞いた言葉を思い出した。

「リナさんって、静かだけど芯がある。人一倍準備するし、チームの中でも着実に動ける子なんですよ」

それが、彼女の“強み”じゃないか。

何か派手なエピソードがある必要はない。毎日の積み重ねこそ、企業が知りたい“その人らしさ”だ。

「それ、面接で話せばよかったのに。準備の仕方や、どんなふうに努力してきたか。そういう“あなたのやり方”を伝えることが、自己PRなんだよ」

リナは、はっとした顔で小さくうなずいた。

「……相談すればよかったですね。面接前に、先生と話しておけばよかった」

就職指導室は、ただノウハウを教える場所じゃない。

その人の中にある魅力を、言葉として引き出す場所なんだ。面接で出せるかどうかは、準備だけではなく、誰かとの対話の中で整理できるかにもかかっている。

あのとき、たった一言でも背中を押せていたら。

その思いが、今も私の中に少しだけ残っている。

2025年5月30日金曜日

会社説明会に参加する)【第50話】答えはいつも、自分の中にある

【第50話】答えはいつも、自分の中にある


いろんな話を聞き、メモをとり、悩みながら進んできた就活。

けれど、フミカが最後にたどり着いたのは――

「結局、いちばん大事なのは、自分がどう感じたか」だった。

他人の評価、企業の規模、数字やデータ。

どれも大切だけど、最後に決めるのは、自分の“心の動き”。

その声を信じられることが、何より大事なのかもしれない。

会社説明会に参加する)【第49話】「いつか説明する立場」になる日

【第49話】「いつか説明する立場」になる日


ソウタは、社員が語る言葉の端々に責任と誇りを感じた。

「自分もいつか、こんなふうに話せる社会人になれるだろうか」

説明会は、“説明を聞く場”だけど、

いつか“自分が語る番”になるかもしれない。

その日を思い描きながら、いまの一歩を選ぶのも悪くない。

2025年5月29日木曜日

会社説明会に参加する)【第48話】“当たり前”を大事にする会社か

【第48話】“当たり前”を大事にする会社か


アカネは、社員が何気なく「残業してないよ」と言っていたことに引っかかった。

それは当たり前のことなのに、なぜか誇らしげだった。

“当たり前のことを、ちゃんと守れている”会社こそ、実は信頼できるのかもしれない。

声高にアピールしなくても、日々の積み重ねがにじむ場所。

そんな企業は、静かに人を惹きつける。

会社説明会に参加する)【第47話】「迷ったまま」でいいときもある

【第47話】「迷ったまま」でいいときもある


説明会を終えても「ここに決めよう」と思えないことがある。

そんなとき、ハルは自分を責めていた。

でも、時間をおいて見返してみると、後から見えてくることも多かった。

就活は、いつも“すぐに決める”ことを求められるけれど、

迷ったままの自分も、しっかり未来を考えている証拠なのだ。 

2025年5月28日水曜日

会社説明会に参加する)【第46話】“温度差”がヒントになることも

【第46話】“温度差”がヒントになることも


ナギサは、説明会で学生と社員の温度差を感じた。

「学生側だけが一生懸命…?」

そんな違和感は、もしかすると「自分の価値観とのずれ」かもしれない。

テンションが高い・低いではなく、関心の向きや熱の在り方が合っているか。

その“温度”を肌で感じることも、大事な感覚のひとつ。 

会社説明会に参加する)【第45話】「なぜ人を採るのか」に思いを寄せる

【第45話】「なぜ人を採るのか」に思いを寄せる


説明会の最後、採用担当者がこう言った。

「未来の仲間を探しています」

ミキは、その言葉に少し胸が熱くなった。

採用は“条件を満たす人を選ぶ作業”ではなく、“共に未来をつくる仲間探し”。

そう思うと、自分もただ評価される立場ではなく、“共に選び合う存在”になったような気がした。 

2025年5月27日火曜日

会社説明会に参加する)【第44話】感情の動きに名前をつける

【第44話】感情の動きに名前をつける


「なんか引っかかった」「なんかよかった」

そう思って終わってしまうことが多かったアヤ。

あるとき「それってどういう気持ちだったのか」を日記のように書いてみた。

嬉しい?安心した?緊張した?

感情に名前をつける練習は、自分の心と向き合う大切な作業。

就活は、そんな“心の言語化”の連続でもある。

会社説明会に参加する)【第43話】声をかけられる人になってみる

【第43話】声をかけられる人になってみる


カズマは説明会のあと、ひとりで会場を出ようとしていた。

そのとき社員が「何か聞きたいことありませんか?」と声をかけてくれた。

その会話が、思いがけず印象深い時間になった。

“誰かが声をかけたくなる”空気をまとうことも、自分を伝える手段のひとつ。

立ち居振る舞いや目線は、言葉以上に多くを語る。

2025年5月26日月曜日

会社説明会に参加する)【第42話】「働く姿」が思い描けるか

【第42話】「働く姿」が思い描けるか


説明会で見たオフィス紹介の映像。

ナオはそこで働く人々の姿に、自分の数年後を重ねてみた。

「ここで朝を迎えて、ここで昼を食べて、夕方にどんな顔で帰るんだろう」

働く場所を「現実の時間」として想像できたとき、選択は少しずつ具体になる。

“その日々に自分を置いてみる”ことも、大切な判断基準だ。

 

会社説明会に参加する)【第41話】“名前”に込められたもの

【第41話】“名前”に込められたもの


コウキは、説明会で出てきた「社名の由来」が気になった。

調べてみると、創業者の思いが詰まっていた。

「なんとなくカッコいい名前」だと思っていた企業名に、ストーリーがあったのだ。

企業名やロゴ、スローガン…それらに込められた思いを知ると、その会社が“ひと”のように見えてくる。 

2025年5月25日日曜日

就活物語「見ているのは、書類の外側」

 就活物語
「見ているのは、書類の外側」


人事を担当して七年目。応募書類、筆記試験、面接——どれも大切な選考材料だ。でも実のところ、それだけを見て採用を決めているわけではない。

たとえば、会社説明会の受付でのやりとり。ある学生は笑顔で名乗り、丁寧にお辞儀をした。別の学生は、スマホを見ながら無言で資料を受け取った。そういう“場のふるまい”は、思っている以上にその人らしさを映す。

質疑応答の時間も同じだ。質問をする内容で、事前に企業研究をしているか、何に関心を持っているのかが透けて見える。メモの取り方や頷きのタイミングにも、話を“聴いている”か“流している”かが表れる。

さらに言えば、選考の連絡メール一つにも、その人の姿勢はにじむ。ある学生は、面接日時の案内に対し、すぐに丁寧な返信をくれた。別の学生は、締切ギリギリに一行だけの返信。面接当日の態度と見事に一致していた。

だから私たちは、選考の“外側”にも目を凝らす。

面接のときだけ“いい自分”を演じても、その前後のふるまいが本質を語る。社会に出れば、そうした一つひとつの積み重ねが信頼になるからだ。

採用とは、書類を見抜くのではなく、「人」を見抜くこと。

だから私は今日も、応募書類の外側に目を配る。

――この人と、一緒に働けるか。

その答えは、意外と何気ない瞬間に現れる。

2025年5月24日土曜日

就活物語「心だけが前に進んでいたカズキ」

 就活物語
「心だけが前に進んでいたカズキ」


「やる気がないように見えますね。」

面接の最後にそう言われたとき、カズキは言葉を失った。

準備はしてきた。企業研究も繰り返し、話す内容も何度も練習した。夜遅くまで、パソコンの前で話す文章を考え、声に出して覚えた。努力が足りないとは思っていなかった。

大学のキャリアセンターで相談すると、職員が静かに尋ねた。

「カズキさん、話しているとき、声に抑揚はありましたか?好きなことを話すときって、自然に表情や声が動きますよね。」

はっとした。自分の面接の様子を録音していたことを思い出し、帰宅後に聞いてみた。

言葉は丁寧で、文の構成も悪くない。だが、どこか平坦。感情が感じられない。熱意あるはずの志望動機も、まるで原稿を読み上げているようだった。

「伝えるって、こういうことじゃないんだな…」

それからカズキは、話し方の練習方法を見直した。

丸暗記ではなく、“伝える場面”を想像するようにした。「御社で働きたい」と話すとき、実際に働いている自分の姿を思い浮かべる。朝の出社風景、やりがいのある仕事、チームでのやりとり。それを目の前にいる誰かに話すように語る。すると、声のトーンに自然と抑揚がつき、表情にも熱が宿るようになっていった。

次の面接。カズキはこれまでと同じように話しているはずなのに、空気が違った。

面接官は最後にこう言った。

「今回、強い想いが伝わってきましたよ。」

やる気は、心の中にあるだけでは届かない。

声に、表情に、身振りに乗せてこそ“伝わる”ものになる。

心だけが前に進んでいたカズキは、ようやく“相手に届く就活”への一歩を踏み出したのだった。

2025年5月23日金曜日

会社説明会に参加する)【第40話】「あいまいな好印象」を深掘りする

【第40話】「あいまいな好印象」を深掘りする


「なんとなくいい会社だった」

ナオミはそう感じたものの、あとから言語化できず困った。

だから、ふと思い出した笑顔、語られたエピソード、社内風景の描写をノートに書き出した。

曖昧な感覚を、言葉にする訓練。

それが、あなただけの“志望理由”になる。

会社説明会に参加する)【第39話】「なぜこの会社に?」の答えを探る

【第39話】「なぜこの会社に?」の答えを探る


アキラは社員にこう尋ねた。「なぜこの会社を選んだのですか?」

返ってきた答えが、自分の悩みと重なっていて、妙に心に残った。

人の“選んだ理由”には、その人の人生観がにじむ。

そして、それに触れることは、自分の“選び方”のヒントになる。

誰かの物語が、あなたの背中を押してくれることもある。

2025年5月22日木曜日

会社説明会に参加する)【第38話】「なぜこの場で話されているのか」を意識する

【第38話】「なぜこの場で話されているのか」を意識する


リナは、ある企業の説明会で、突然流れた社員インタビュー動画に違和感を覚えた。

なぜ今これを見せられたのか――目的がはっきりしない。

企業側が何を伝えたいのか、その“意図”を読むことも大切。

その意図に共感できるかどうかが、心の温度を決める。

会社説明会に参加する)【第37話】“共通点”を探してみる

【第37話】“共通点”を探してみる


レイは、「この会社、よさそうだけど、自分に合うか分からない」と思っていた。

でも、社員の趣味や話すスピード、人への気遣いに、なんとなく親近感が湧いた。

“好き”や“違和感”の正体は、意外と小さな共通点の積み重ねだったりする。

相手に“自分を映す鏡”を見つけたとき、不思議と前へ進みたくなる。

2025年5月21日水曜日

会社説明会に参加する)【第36話】なぜ、その話を社員は語ったのか

【第36話】なぜ、その話を社員は語ったのか


ショウタは説明会で語られた、ある社員の「苦労話」に強く引かれた。

成功談よりも、その失敗をどう乗り越えたかに会社の風土が出ていた。

“語られる話”は、ただの経験談ではなく、その人の“価値観のかけら”でもある。

なぜそれを語ったのか。

その背景を想像すると、相手の思いが見えてくる。

会社説明会に参加する)【第35話】「情報を聞く」より「空気を感じる」

【第35話】「情報を聞く」より「空気を感じる」


説明会の資料はよくできていて、プレゼンも流暢だった。

でも、アスカはどこか“感情”を持って帰れなかった。

数字や制度は記憶できても、温度や人の息づかいは体感しなければ分からない。

“説明会”とは“空気会”でもある。

言葉にできない何かを感じ取る感性も、就活では大きな力になる。

2025年5月20日火曜日

会社説明会に参加する)【第34話】誰とでも話せる雰囲気か

【第34話】誰とでも話せる雰囲気か


ユカは説明会後の座談会で、年次の違う社員に声をかけた。

どの社員もフラットに話してくれたことに、会社の“人間関係の温度”を感じた。

肩書きや年次にこだわらず、誰もが意見を言える空気があるか。

それは、働くうえで想像以上に大切な環境だ。

会社説明会に参加する)【第33話】「就活っぽさ」を捨ててみる

【第33話】「就活っぽさ」を捨ててみる


リュウジは最初、質問も表情も“真面目な就活生”を演じていた。

でもある説明会で、社員のラフな話しぶりに肩の力が抜け、自然な自分で話せた。

「就活だから」と自分を固めすぎると、見失うものもある。

“らしさ”よりも、“らしくいられる空気”を感じ取る。

そんな視点も、就活の大切な感性のひとつ。

2025年5月19日月曜日

会社説明会に参加する)【第32話】“社員の目線”を借りてみる

【第32話】“社員の目線”を借りてみる


ナナはある説明会で、話していた社員にこう聞いた。

「○○さんが学生の頃、どんな視点で企業を選んだんですか?」

その答えには、ネットでは知れない“個人のリアル”があった。

情報を得るだけでなく、“社員の視点を借りる”という発想。

それが、自分にない視野をひらくヒントになる。

会社説明会に参加する)【第31話】企業の「言葉遣い」に注目する

【第31話】企業の「言葉遣い」に注目する


マコトは、説明会で使われる言葉のひとつひとつに引っかかっていた。

「人材を“戦力”としか見ていないような表現が多い…」

たった一言が、その会社の“価値観”を表すこともある。

採用を“囲い込み”と表現するか、“ご縁”と呼ぶか。

耳を澄ませば、その会社の“人の見方”が、じんわりと伝わってくる。

2025年5月18日日曜日

就活物語「誰の言葉で語っているのか」

 就活物語
「誰の言葉で語っているのか」


人事部で採用を担当している私は、ここ数年、応募書類にある“共通点”が増えてきたことに気づいていた。

以前は、学校が作成した「内定者の志望動機集」からの引用が目立った。文末の表現や構成が妙に揃っていたり、企業名だけを差し替えたような文が並んでいたり。経験を聞いても、自分の言葉で語れない学生が少なくなかった。

だが最近、様子が少し違う。

一見、文は整っている。語彙も洗練されていて、読みやすい。しかし、読めば読むほど、どこか“心”がない。なぜか別の応募者の文と構成がほぼ同じだったり、言い回しが機械的だったり。違う学生から届いた志望動機なのに、まるで同じ人が書いたように感じることがある。

「これは…生成AIか」

そう気づいたのは、ChatGPTの存在を知ってからだった。試しに「御社に志望する理由を教えてください」と打ち込んでみた。返ってきたのは、最近よく見るようになった“きれいな、けれど空っぽな”言葉たちだった。

AIを使うなとは言わない。むしろ、活用できる力はこれから必要になる。だが、そのまま貼り付けたような志望動機に、あなた自身の意思はあるのか?

自分の経験、自分の気づき、自分の言葉。そこにこそ、採用担当者は「人」を見出す。完璧じゃなくていい。拙くても、その人の視点が宿っていれば、心に引っかかる。

「あなたは、誰の言葉で語っているのですか?」

私は今日も、履歴書をめくる。

探しているのは、流暢な文章ではない。自分の言葉で、未来を語ろうとする学生なのだ。

2025年5月17日土曜日

就活物語「説明会で座っているだけだった私」

 就活物語
「説明会で座っているだけだった私」


ナナは、就活が始まってからいくつもの会社説明会に参加していた。遅刻もせず、話もきちんと聞いていた。ノートには企業名や印象的な言葉がびっしりと書かれている。

なのに、ある日、大学の就活支援室で言われた。

「ナナさん、企業から“消極的”って言われることがあるみたいよ。」

信じられなかった。「こんなに真面目に取り組んでるのに…」と、思わず心の中でつぶやいた。

数日後の説明会。ナナは、隣の席に座った男子学生の姿に目を奪われた。

彼は、話を聞くたびにうなずき、メモを取る手も止まらない。そして質疑応答の時間には、真っ先に手を挙げて質問していた。

「ああ、これか…」

ナナは、自分の姿を思い返した。話の途中で下を向きっぱなし。目線も泳ぎ、質問タイムにはいつも沈黙していた。「聞いていた」はずだった。でも、外からは“ただ座っているだけ”に見えていたのかもしれない。

それから、ナナは少しずつ行動を変え始めた。

ノートに書くのはもちろん、顔を上げて目を見て話を聞くようにした。うなずきながら反応を返し、「質問しよう」と決めて一つは事前に準備して臨んだ。

最初はぎこちなかった。勇気も必要だった。

でも、不思議と相手の話も頭に入ってくるようになり、質問を通じて自分の興味や考えも深まっていった。

数週間後、とある企業の方が言ってくれた。

「説明会のとき、前向きな姿勢が印象的でしたよ。」

内側に“やる気”があっても、それが伝わらなければ意味がない。

“伝える姿勢”こそが、ナナにとっての一歩だった。

そう気づいたナナは、次の説明会に向かって、まっすぐに歩き出した。

2025年5月16日金曜日

会社説明会に参加する)【第30話】「自分が話す日」をイメージしてみよう

【第30話】「自分が話す日」をイメージしてみよう


説明会で話す社員の姿を見て、ケイタはふと想像した。

「もし自分が、この会社の社員として後輩に話すなら、どんな話をするだろう?」

その問いが、なぜか胸に残った。

就職はゴールじゃない。

未来の自分が、その場に立つ姿を想像できたなら、きっとそこが“ご縁のある会社”なのだ。

会社説明会に参加する)【第29話】他の企業との違いをメモしよう

【第29話】他の企業との違いをメモしよう


ハルは複数の説明会に参加するうちに、内容がごちゃごちゃになってきた。

でも、あるとき「他社との違い」をメモするようにしてみた。

それによって、それぞれの個性が際立ち、自分の志望も定まっていった。

“違いを見つけること”は、“自分に合う理由”を見つけることでもある。

2025年5月15日木曜日

会社説明会に参加する)【第28話】“居心地のよさ”を過信しない

【第28話】“居心地のよさ”を過信しない


説明会で社員がとても優しく、会場も穏やかな雰囲気。

アスカは「ここ、居心地いいな」と思った。

けれど、よく考えると、自分が成長できる厳しさも必要だと気づいた。

居心地の良さ=自分に合っている、とは限らない。

心地よさの中に、自分が挑戦できる“余白”があるかを見てみよう。

会社説明会に参加する)【第27話】その企業の「未来」を聞いてみよう

【第27話】その企業の「未来」を聞いてみよう


リョウはある説明会で、会社の今だけでなく、将来のビジョンに惹かれた。

「この先、どんな成長を描いているのか」

そこに、自分の成長が重なる未来を感じたからだ。

今だけを見て判断するのではなく、会社の“これから”を聞く。

そこに共感できるかどうかも、大切な選択軸になる。

2025年5月14日水曜日

会社説明会に参加する)【第26話】「誰と働くか」に敏感になろう

【第26話】「誰と働くか」に敏感になろう



「仕事内容」ばかり見ていたユイナは、ある説明会でこう思った。

「この先輩と一緒に働けたら楽しそう」

仕事内容よりも、“誰と”働くかの方が、案外モチベーションに直結する。

人の雰囲気、話し方、考え方…それらが自分と合うかどうか。

説明会は、その“空気”に触れるための大切な時間なのだ。 

会社説明会に参加する)【第25話】「知るだけ」で終わらせない

【第25話】「知るだけ」で終わらせない


ショウは説明会で感心した。

でも感心して終わっただけで、気持ちが続かなかった。

理由は、自分にどうつながるか考えていなかったから。

企業情報は“知る”だけでは意味がない。

「この会社で、どんな自分になれるか」

それを想像することが、次の一歩を生む鍵になる。


 

2025年5月13日火曜日

会社説明会に参加する)【第24話】声のトーンに注目してみよう

【第24話】声のトーンに注目してみよう


社員の話は丁寧だったけど、どこか熱量を感じなかった――

そんな感覚を、アヤは無視できなかった。

言葉よりも、語り口や表情にこそ、その人の“本音”がにじむことがある。

ワクワクして話しているのか、ルールで話しているのか。

声の温度から、会社の文化が見えてくることもある。 

会社説明会に参加する)【第23話】自分だけの“興味の切り口”を探す

【第23話】自分だけの“興味の切り口”を探す


ミナトは「どこに興味を持っていいか分からない」と悩んでいた。

でも、説明会で「福利厚生」について詳しく質問している学生がいて気づいた。

「興味って、職種だけじゃないんだ」

人それぞれ、気になるポイントは違っていい。

“自分だけの入り口”を持つことが、志望動機の土台になる。

2025年5月12日月曜日

会社説明会に参加する)【第22話】“裏話”にこそ真実がある

【第22話】“裏話”にこそ真実がある


サオリは説明会中の何気ない雑談に耳を傾けていた。

先輩社員が話す「失敗談」や「入社後のギャップ」。

そこには、会社パンフレットには載っていないリアルが詰まっていた。

一見、余談に見える話こそ、会社の素顔を映している。

気になる言葉があれば、そっとメモしておこう。 

会社説明会に参加する)【第21話】“企業規模”にとらわれすぎない

【第21話】“企業規模”にとらわれすぎない


大手志向だったタケルは、たまたま参加した中堅企業の説明会で驚いた。

社員が生き生きと話し、仕事の裁量が大きいことに惹かれたのだ。

「企業の魅力って、規模だけじゃ測れない」

ブランドではなく、自分が輝ける場所を探す。

それに気づいた瞬間、選択肢が広がった気がした。

2025年5月11日日曜日

就活物語「惹かれるか、引っ張るか」

就活物語
「惹かれるか、引っ張るか」


人事部で採用を担当している私は、今日もまた何通もの履歴書に目を通していた。

今年も「御社の安定した業績に惹かれました」という言葉が並ぶ。

それは、ありがたい。私たちが積み重ねてきた努力が、学生たちに届いているということだ。

だが、どこか引っかかる。

“惹かれた”というその言葉に、未来への意志が感じられないのだ。

まるで、すでに完成された場所にただ乗せてほしい、というような印象を受ける。

もちろん、誰だって安定した会社で働きたい。そこに疑いはない。

しかし、私たちが本当に求めているのは、「この業績をさらに前に進めたい」と思える人。

完成された場所に身を置くのではなく、未完成の部分に手を伸ばそうとする人なのだ。

そんなとき、一通の履歴書に目が留まった。

志望動機の欄に、こんな一文があった。

「私は、貴社の地域密着型の営業展開には強みと同時に課題もあると感じました。学生時代に取り組んだ地域活性プロジェクトの経験を活かし、さらなる展開の可能性を広げていきたいと思っています。」

──この一文が、他の学生とは違って見えた。

“安定”に寄りかかろうとせず、“挑戦”の中に自分の居場所を見出している。

その視点が、私たちのチームを支え、時に引っ張ってくれるかもしれない。

そう思った瞬間、この学生に会ってみたい、と心から感じた。

企業は完成形ではない。変化する社会の中で、常に磨き、育て、守るべきものだ。

だからこそ、“何ができるか”を考える人、“一緒に築いていく”意志を持つ人と出会いたい。

私は今日も履歴書をめくる。

“惹かれた”理由ではなく、“引っ張りたい”理由を探しながら。

2025年5月10日土曜日

就活物語「目を見て話せなかった僕へ」

就活物語
「目を見て話せなかった僕へ」


面接を終えたアユムは、駅に向かう道すがら、何とも言えない違和感を抱えていた。

面接官の表情が、途中から曇っていた。最初は笑顔だったのに、次第に目線を外され、話が早々に切り上げられた。

そして後日届いた結果は「不合格」。その理由には、「やる気が感じられなかった」とあった。

「なんで? あんなに準備したのに。必死だったのに…」

落ち込みながらも、アユムはふと自分の面接の様子を思い出してみた。声が小さく、視線も定まらず、表情も強張っていた気がする。自分では精一杯のつもりでも、その熱意は外には伝わっていなかったのだ。

「やる気って、気持ちだけじゃダメなのかもしれない」

そう思った彼は、翌日から小さな努力を始めた。まずは鏡の前で笑顔の練習。口角を上げることにこんなに神経を使ったのは初めてだった。次に、友人にお願いして模擬面接を繰り返した。話す内容は問題ないと言われたが、「感情が伝わらない」「表情が固い」という指摘が返ってきた。

そこから彼は、“話す内容”ではなく、“話し方”そのものを見直した。話すときは相手の目を見る。声のトーンに強弱をつける。時に頷き、時に少し笑顔を添える。自分を表現するのは言葉だけじゃないと、少しずつ実感し始めた。

そして迎えた次の面接。アユムは、意識して面接官の目を見て話し、自分の想いを丁寧に届けた。結果は…「熱意が伝わってきた」と、初めて言われた言葉だった。

やる気がないんじゃない。やる気の“見せ方”を知らなかっただけだった。

不器用でもいい。少しずつでも伝えようとする姿勢が、きっと誰かに届く。

そう気づいたアユムは、もう一度前を向いた。 

2025年5月9日金曜日

会社説明会に参加する)【第20話】「感じたこと」を言葉にしよう

【第20話】「感じたこと」を言葉にしよう


ミクは説明会で感動した。でもそれを「良かった」としか表現できなかった。

でも帰宅後、友人に語るうちに、少しずつ言葉になってきた。

「誠実な社風だと感じたのは、社員の対応が自然で丁寧だったからかも」

そうやって、感じたことを具体化していく力が、就活ではとても重要になる。

思いを言葉にできる人ほど、想いは伝わる。

会社説明会に参加する)【第19話】メモは“書いたまま”にしない

【第19話】メモは“書いたまま”にしない


トモヤは説明会でびっしりメモをとった。

でも、見返さないまま次の選考に進み、「何が印象的だったか」と聞かれて言葉に詰まった。

メモは“記録”ではなく“対話”の道具。

あとで読み返し、そこから何を思ったか、自分の言葉に置き換えてみることが大切だ。

そうして初めて、自分の「志望理由」に変わっていく。

2025年5月8日木曜日

会社説明会に参加する)【第18話】説明会は「調べたことを確かめる場」

【第18話】説明会は「調べたことを確かめる場」


カナは企業研究をしっかりしてから説明会に臨んだ。

「聞いたことある話ばかりだったけど、それが逆に安心した」

ネットで調べた情報と、実際の説明内容が一致しているか。

それを確かめるだけでも意味がある。

説明会は情報を得る場でもあり、“確かめる場”でもあるのだ。

会社説明会に参加する)【第17話】先輩社員の登場に注目せよ

【第17話】先輩社員の登場に注目せよ

説明会の途中、入社2年目の先輩社員が登場した。

まだ社会人経験の浅いその人の言葉に、ハルは妙なリアリティを感じた。

"実際は...っていう話が聞けてよかった」

若手の話には、飾られていない"生の声"が宿る。

その言葉に耳をすませることで、働くイメージが少しずつ具体的になっていく。 

2025年5月7日水曜日

会社説明会に参加する)【第16話】自分の“違和感”を見逃さない

【第16話】自分の“違和感”を見逃さない


エリカは説明会中、社員の言葉に小さな違和感を覚えた。

でも、「考えすぎかな」とスルーしてしまった。

後日、その会社の口コミを調べてみると、自分が感じたのと同じ点に言及している人が何人もいた。

“感じたこと”は、あなたの感性が教えてくれるサインかもしれない。

違和感は、思考を深めるチャンスでもある。 

会社説明会に参加する)【第15話】「その場で選考予約」には注意

【第15話】「その場で選考予約」には注意


説明会の最後、「このまま選考予約できますよ」と促されたユウト。

勢いで申し込みをしてしまったが、帰りの電車でふと不安に。

「よく考えてないのに、エントリーしてよかったのかな…」

説明会の印象がよくても、その場で決めるのが正解とは限らない。

いったん持ち帰って、自分の気持ちと向き合ってから動く勇気も、大事な選択のひとつ。

2025年5月6日火曜日

会社説明会に参加する)【第14話】オンライン説明会も“見られている”

【第14話】オンライン説明会も“見られている”


ユイは家で受けるオンライン説明会なら気楽だと思っていた。

でも、画面越しでも、表情や反応の差ははっきり伝わる。

顔が映らないからとスマホをいじったり、他のことをしたりしていると、案外バレるもの。

オンラインでも「一人の社会人としてどう振る舞うか」が見られている。

画面越しの姿勢が、意識の表れになる。

会社説明会に参加する)【第13話】社風は「言葉」では伝わらない

【第13話】社風は「言葉」では伝わらない


「風通しのよい職場です」

「若手にもチャンスがあります」

説明会で何度も聞く言葉だけれど、カオルは思った。

「本当にそうなのかは、雰囲気を見ないと分からないな」

社員同士の距離感、先輩後輩のやりとり、質疑応答の雰囲気…

言葉の裏にある“空気”に目を向けることで、会社のリアルな姿が見えてくる。

2025年5月5日月曜日

会社説明会に参加する)【第12話】「なんでもいい」は通用しない

【第12話】「なんでもいい」は通用しない


「業界は特に絞っていません」

説明会後の質問タイムでそう答えたユウは、社員の反応が一瞬止まるのを感じた。

“なんでもいい”というのは、“多くのことに興味を持っている”とは違う。

せめて「今は迷っているけれど、この会社に関心を持った理由」を伝えるだけでも、印象は変わる。

自分なりの視点や仮説があること。

それが、関心の深さを伝える第一歩になるのだ。

会社説明会に参加する)【第11話】会社の“理念”に耳をすませる

【第11話】会社の“理念”に耳をすませる


説明会の冒頭、少し堅苦しく聞こえる“企業理念”。

けれど、マナはそれを聞き流さずにメモを取っていた。

帰宅後、その理念が自分の価値観と驚くほど近いことに気づいた。

「ここなら、自分の考えと同じ方向を向けるかもしれない」

企業理念は、会社の“魂”のようなもの。

それに共鳴できるかどうかが、長く働くうえでの大切な軸になる。

2025年5月4日日曜日

就活物語「読みたくなる履歴書」

就活物語
「読みたくなる履歴書」


人事部で採用を担当して十年。春になると、デスクの上に山のような履歴書が届く。新卒採用の時期だ。会社説明会では、毎回一生懸命に話す。会社の強み、働く魅力、求める人物像——。それでも、いざ提出された履歴書を見ると、心が沈む。

正直に言おう。届いた履歴書の半分は、「読もう」と思えない。志望動機の欄には、「成長できる環境を求めている」とか、「御社の業界に興味があります」といった、どの会社にも通用するような言葉が並ぶ。これが、あの説明会に参加してくれていた学生の書いたものかと思うと、虚しさがこみ上げてくる。

説明会で目を輝かせていたあの学生も、履歴書では“その他大勢”になってしまう。

ある日、ふと手に取った一枚の履歴書。書き出しに「父が長年、御社の製品を愛用しており…」とあった。目を引かれた。読み進めると、彼女はその経験から商品に興味を持ち、自分でも調べ、大学のゼミで関連するテーマに取り組んだという。心に残った。話してみたい、と思った。

そう、読みたくなる履歴書には、「その人らしさ」がある。「なぜこの会社なのか」「どこに共感したのか」が、自分の経験や気持ちと結びついて書かれている。それが伝わると、採用担当者も“その人”をもっと知りたくなる。

企業の説明会でどれだけ想いを語っても、それを受け取って、自分の言葉で返してくれなければ、つながりは生まれない。

学生たちに伝えたい。就活は、無難さを競う場ではない。自分の想いを「あなたの言葉」でぶつけてほしい。それが伝わったとき、履歴書は「紙」ではなく「声」になるのだから。

2025年5月3日土曜日

就活物語「六十社目の春」

就活物語
「六十社目の春」


春の終わり、大学の就活掲示板にひとりの学生がそっと手紙を貼った。

「この度、ようやく内定をいただきました。実は、これが60社目の応募でした。」

彼の名はタクミ。真面目で口下手な青年。最初の頃は、数社の不合格通知に心が折れかけた。周りの友人が次々と内定をもらう中で、「自分は価値がないのかもしれない」と何度も思った。それでも彼は、毎回の面接を思い返し、自分の伝え方や表情、受け答えを振り返っては改善を重ね、エントリーシートの表現にも工夫を加えていった。

ある日、彼が尊敬する教授が言った。

「タクミ、不合格は“否定”じゃない。“今のままでは合わなかった”というだけだ。そこにヒントがある。」

その言葉に支えられ、タクミは不合格の理由を自分なりに分析し続けた。人に頼ることが苦手だった彼は、思い切ってキャリアセンターに通い、模擬面接を繰り返した。落ちるたびに、なぜ落ちたかを問い直し、少しずつ“自分らしい表現”を見つけていった。

そして60社目。ある企業の面接で、彼はこう語った。

「私は、多くの不合格を経験しました。でも、それを一つひとつ見つめ直す中で、少しずつ成長してきた実感があります。私は失敗を恐れずに改善を続けられる人間です。」

その言葉に、面接官の表情が変わった。

——そして数日後、彼に初めての内定通知が届いた。

「不合格の数だけ、自分を知った」と彼は言う。

“合わなかった”理由を、決して“自分がダメだから”と受け止めず、“どうすれば伝わるか”と問い続けたその姿勢が、いつしか最大の武器になった。

だから今、彼は伝える。

「不合格は、終わりじゃない。次に進むためのヒントだよ。」

2025年5月2日金曜日

会社説明会に参加する)【第10話】“なんとなく良かった”で終わらせない

【第10話】“なんとなく良かった”で終わらせない


「雰囲気よかったなぁ…」

そう思ったハルカは、帰りの電車でノートを開いた。

「雰囲気」って、具体的にどう感じた?

社員の笑顔?話し方?質問の受け答え?

その曖昧な“なんとなく”を言葉にしていくことが、自己分析の一歩になる。

言語化することで、自分が大切にしたいことも見えてくる。

就活は、自分の心の動きを言葉にする旅でもあるのです。

就活におけるグループワーク)【第20話】最後のひとことが、すべてを変える

【第20話】最後のひとことが、すべてを変える  「もう時間ですね。発表、どうまとめましょう?」  残り時間5分。誰かが代表して発表内容をまとめようとするが、うまく整理ができず、全員が焦っていた。  そんなとき、隅で静かにしていた圭吾が、ぽつりとつぶやいた。  「結局、“働きやすさ...