2025年11月14日金曜日

就活リアル「働く場所を見て、未来が少し現実になった日」


 内定先から「内定者懇談会」の案内が届いた。

集合場所は、本社ビルのエントランス。

スーツ姿で向かう途中、心臓が少しだけ速く打っていた。

 自動ドアが開いた瞬間、冷たい空気とともに、静かな緊張感が流れ込んでくる。

受付の奥には社員らしき人たちがテキパキと行き交っていた。

“ここで自分も働くのか…”

その光景を見ただけで、言葉にできない重みが胸に広がった。

 会の最後に、先輩社員が笑顔で言った。

「今日のこと、きっと忘れないと思うよ。社会人になる実感って、こういう瞬間にくるんだ。」

 帰り道、ビルを見上げた。

ガラスに映る自分の姿が、少しだけ頼もしく見えた。

この場所で、どんな日々が待っているんだろう。

そんな“未来の自分”を、ほんの少し想像できた日だった。


#内定者のリアル
#社会人への実感
#未来を見つめて 

2025年11月13日木曜日

就活リアル「内定後、やる気が出ない自分に戸惑った」


 内定が決まってから、どうも気が抜けてしまった。

面接の日々に比べて、時間に追われることもない。

SNSでは「旅行行ってきた」「卒論始めた」といった投稿が流れてくる。

焦るほど、動けなくなる自分がいた。

 “あんなに頑張ってたのに、なんで今は何もやる気が出ないんだろう”

そう思っていたとき、キャリアセンターの先生に言われた。

「それは自然なことだよ。ずっと走ってきたんだから、少し休まないとね」

 その言葉に、肩の力が抜けた。

就活は“終わり”じゃなくて“一区切り”。

次に進むための準備期間でもある。

 少しずつ部屋を片づけて、内定先の会社について調べ直した。

焦らず、一歩ずつ。

もう一度、自分のペースで前に進めばいい。

そう思えた夜、久しぶりに心が軽くなった。


#内定者のリアル
#燃え尽き症候群
#ゆっくり前へ 

2025年11月12日水曜日

就活リアル「“社会人になる”って、こういうことかも」


 内定先の会社から、初めてのメールが届いた。

「入社までに読んでおいてほしい資料をお送りします」

添付された分厚いPDFを開くと、ビジネスマナーや社内制度、社会保険の説明がずらりと並んでいた。

 最初は「難しそうだな」と感じた。でも、ページをめくるたびに、これまで“学生の延長”のように考えていた自分が少しずつ変わっていくのを感じた。

――この会社の一員として、責任を持つ。

その言葉の重みが、胸に少しだけ響いた。

 SNSで「春から社会人!」と浮かれる投稿を見て焦っていた自分。

でも今は、焦りよりも“覚悟”が近い感情に変わっている。

 社会人になるというのは、完璧になることじゃない。

誰かに頼られ、応えようとする心を持つこと。

その第一歩を、今、踏み出した気がした。


#内定者のリアル
#社会人になる準備
#覚悟の一歩 

2025年11月11日火曜日

就活リアル「社会に出る準備、まだできてないかも」


 内定式を終えた帰り道、スーツ姿の自分がガラスに映った。

周囲のビル街を歩く人たちと同じように見える。でも、心の中ではまだ学生のままだ。

「本当に社会に出る準備、できてるのかな…」

ふとそんな思いがよぎった。

 入社まで半年。メールの返信も、報告書の書き方も、何ひとつ自信がない。

SNSでは同期たちが「春から社会人!」と笑顔で投稿している。

その眩しさに、少し取り残された気がした。

 でも夜、自室で見返した就活ノートには、震える文字で書かれた言葉があった。

「わからなくても、やってみよう。」

不安を抱えながらも挑戦し続けた自分が、確かにそこにいた。

 準備なんて、完璧にできるものじゃない。

大事なのは、怖くても踏み出す勇気。

あの日、内定をもらった“あの瞬間”から、

社会に出る一歩はもう始まっているのかもしれない。


#内定者のリアル
#社会人になる前に
#不安と希望のはざまで 

2025年11月10日月曜日

「“同期”と呼べる人ができた日」


 内定者研修の最終日。

朝から資料の最終確認をしていた真央の胸には、どこか晴れやかな気持ちがあった。

数日前まで“初対面”だった同期たちが、いまは笑顔で言葉を交わしている。

 最後のプレゼン発表が終わると、講師が言った。

「みなさん、立派でした。次に会うときは“社員”ですね。」

 拍手が起きた。

真央は亮太と目を合わせ、小さくうなずく。

「おつかれさま!」――その一言に、これまでの努力が報われた気がした。

 昼休み、同期みんなで写真を撮った。

カメラのタイマーが光る瞬間、誰かが「せーの!」と声をあげる。

笑いながら、真央は思った。

“たった数日なのに、仲間ってできるんだな。”

 帰りの電車の窓に映る自分の顔は、少し大人びて見えた。

社会人になる不安よりも、仲間と一緒に進む未来への期待のほうが大きかった。


#内定者研修最終日
#同期の絆
#社会人のはじまり 

2025年11月9日日曜日

就活物語「笑顔のタイミングが上手い子」

――相手を安心させる“場の空気づくり”の力――


 面接という場は、誰にとっても緊張するものだ。

だが、その緊張を自然に和らげてくれる学生がいる。

それは、笑顔のタイミングが上手い子だ。

 ある女子学生の面接を担当したときのこと。

彼女は最初、丁寧に礼をしてから少し硬い表情で座った。

だが、質問に答えるうちに、時折ふっと笑顔を見せる。

その笑顔が、わざとらしくない。自然で、場の空気をふんわり変える力を持っていた。

 「失敗したとき、どう対処しましたか?」と尋ねると、

「最初は焦りましたが、先輩に助けられて…そのとき“頼ることもチーム力だ”って気づいたんです」と、

照れくさそうに笑った。

 その瞬間、こちらも思わず笑顔になった。

面接官と学生という立場を超えて、人と人としての距離が一気に縮まった気がした。

 終わったあと、同席していた上司が言った。

「彼女、話し方は控えめだけど、場を明るくする力があるね。」

 面接は、“自分を見せる”だけの時間ではない。

相手に安心感を与える力も、社会では立派なコミュニケーションスキルだ。

 ――笑顔のタイミングが上手い学生。

それは、相手の心に寄り添う力を持った人なのだと思う。


#面接官の視点
#笑顔の力
#コミュニケーションスキル 

2025年11月8日土曜日

就活物語「第一印象で終わらせない学生」

――緊張していたが、終盤で一気に心を掴んだ展開――


 最初の5分で、「あ、この子は緊張しているな」と感じる学生は多い。

声が小さく、目線が定まらず、言葉もたどたどしい。

面接官としては、どうしても「大丈夫かな?」という印象を持ってしまう。

 だが、その印象が見事に覆された学生がいた。

彼は最初、質問に対しても控えめな受け答えだった。

けれども、「学生時代に力を入れたこと」を尋ねたとき、空気が変わった。

 「実は、部活で後輩の育成を任されたことがあって――」

そう語り出した瞬間、声に力が宿った。

仲間との衝突、悩み、そして最後にチームが笑顔になった瞬間を話す彼の姿は、さっきまでの緊張した学生とはまるで別人だった。

 面接官の私たちは、いつの間にか聞き入っていた。

話の終わりに、彼が少し照れくさそうに言った。

「自分でも、こんなふうに人と向き合えるとは思いませんでした。」

 面接後、同席していた部長がつぶやいた。

「最初は静かだったけど、最後には“人柄”が伝わってきたね。」

 第一印象で評価が決まることもあるが、

それを覆す力を持つのも、やはり“本気で語れる経験”だ。

 ――緊張してもいい。大事なのは、途中で心を開けるかどうか。

彼の面接は、それを教えてくれた時間だった。


#面接官の視点
#第一印象を超える
#本気の瞬間 

就活リアル「働く場所を見て、未来が少し現実になった日」

 内定先から「内定者懇談会」の案内が届いた。 集合場所は、本社ビルのエントランス。 スーツ姿で向かう途中、心臓が少しだけ速く打っていた。  自動ドアが開いた瞬間、冷たい空気とともに、静かな緊張感が流れ込んでくる。 受付の奥には社員らしき人たちがテキパキと行き交っていた。 “ここで...