2026年9月27日日曜日

それぞれの、働く理由|第2話 多様な働き方|正社員にならなかった私


 「どうして正社員にならないの?」

久しぶりに会った友人から、そう聞かれた。

 奈々は二十八歳。

週に四日、図書館で契約職員として働いている。

残りの時間は、自宅でイラストを描いていた。

学生時代から絵を描くことが好きだった。

 でも、それだけで生活していく自信はなかった。

だから、安定した収入を得ながら、自分の好きなことも続けられる働き方を選んだ。

もちろん、不安がないわけではない。

契約更新の時期が近づくと落ち着かない。

収入も、正社員の友人たちと比べれば少ない。

将来のことを考えると、眠れない夜もある。

 「正社員になった方が安心じゃない?」

友人の言葉は、決して間違っていないと思う。

でも、奈々には大切にしたい時間があった。

図書館で子どもたちに本を紹介する時間。

家に帰って、机に向かい、好きな絵を描く時間。

どちらも、今の自分にとって必要なものだった。

 ある日、図書館で小さな女の子が声をかけてきた。

「この前のお姉さんが教えてくれた本、面白かったよ。」

奈々は思わず笑顔になった。

その夜、自宅でイラストを描きながら、ふと思った。

働き方には、それぞれ良いところも難しいところもある。

正社員という選択も、今の自分の選択も、どちらかが正解というわけではない。

大切なのは、自分が何を守り、何を大切にして生きていきたいか。

 奈々は描きかけの絵に、もう一度色を重ねた。

将来の答えは、まだ出ていない。

それでも今は、この働き方を自分で選んでいる。

その気持ちを、大切にしたかった。


#多様な働き方
#正社員以外の働き方
#自分らしい生き方 

2026年9月26日土曜日

それぞれの、働く理由|第1話 好きな仕事と向いている仕事|夢と現実の間で迷った日


 「本当に、この仕事が好きなの?」

友人にそう聞かれたとき、美咲はすぐに答えられなかった。

 美咲は二十五歳。

大学を卒業してから、食品メーカーの営業部で働いて三年目になる。

学生時代は、デザインの仕事に憧れていた。

色を組み合わせたり、何かを形にしたりすることが好きだった。

けれど、就職したのは営業職。

 最初は、人と話すことも得意ではなかった。

何度も失敗し、向いていないと思ったこともある。

それでも、少しずつ仕事を覚えた。

お客様の話を聞き、困っていることを一緒に考える。

気がつけば、営業成績も安定していた。

「美咲さんは、人の気持ちをくみ取るのが上手だね。」

上司からそう言われたこともある。

 でも、心のどこかに小さな疑問が残っていた。

好きだったデザインの道を選んでいたら、今頃どうなっていただろう。

ある日、担当するお店から相談を受けた。

新商品の売り場を、もっと魅力的にしたいという。

美咲は思い切って、商品の並べ方や色の組み合わせを提案した。

 数日後、お店から連絡があった。

「おかげで、お客様が足を止めてくれるようになりました。」

その言葉が、うれしかった。

営業の仕事をしているからこそ、デザインの知識を生かせる場面がある。

好きなことと、向いていること。

ずっと別々のものだと思っていた。

 でも、必ずしもどちらかを選ばなければならないわけではない。

帰り道、美咲は少し笑った。

今の仕事の中にも、自分の好きなことを見つけられる。

そんな働き方があってもいいのかもしれない。


#好きな仕事
#向いている仕事
#キャリアの選択 

2026年9月25日金曜日

就活物語 内定後の不安|働くことが少し怖くなった


 内定も決まり、就活も終わった。それなのに健太の心には、新しい不安が生まれていました。「自分は本当に社会人としてやっていけるのだろうか」。その気持ちと向き合います。

就活の不安が社会人になる不安へ変わった

 金曜日の夜。

健太は机の前で、内定先の資料を眺めていた。

来年4月から、自分はここで働く。

そう考えた瞬間、胸の奥が少しざわついた。

 朝、決まった時間に出社する。

仕事を覚える。

上司や先輩と関わる。

失敗すれば、自分で責任を持たなければならないこともある。

「ちゃんとやっていけるのかな」

 就活中は、会社に入ることばかり考えていた。

でも内定を得た今、その先にある「働く」という現実が見え始めていた。

知らないことばかりだった。

だから怖い。

 けれど健太は、就活を始めた頃の自分を思い出した。

面接も、企業研究も、最初は何も分からなかった。

失敗しながら覚えた。

誰かに相談しながら進んだ。

そして少しずつ、自分で考えられるようになった。

社会人になっても、きっと同じなのだろう。

 最初から何でもできる必要はない。

分からなければ聞けばいい。

失敗したら、そこから学べばいい。

半年後の自分を完璧に準備することなどできない。

大切なのは、分からないことに出会った時、どう向き合うかだ。

 健太は資料を閉じた。

不安は消えていない。

でも、「怖いから無理」ではなく、「知らないから少し怖い」と思えるようになった。

それだけで、気持ちは少し軽くなった。

まとめの一言

 社会人になる不安は、これから知らない世界へ進もうとしているからこそ生まれる気持ちです。


#就活
#内定後
#社会人準備 

2026年9月24日木曜日

就活物語 社会人準備|「学生でいられるのもあと半年」


 就活が終わり、大学でいつもの時間を過ごしていた健太。何気なく聞いた「卒業まであと半年」という言葉から、学生生活にも終わりが近づいていることを意識します。

残り半年をどう過ごすか

 木曜日。

授業が終わったあと、友人の一人が何気なく言った。

「学生でいられるのも、あと半年くらいなんだな」

 健太は、その言葉に少し驚いた。

卒業することは、もちろん分かっていた。

来年の春から働くことも決まった。

それなのに、「あと半年」と言われると急に現実味を帯びた。

大学へ通うこと。

学食で友人と昼食を食べること。

平日の昼間に本屋へ寄ること。

そんな当たり前の日常にも、終わりがある。

 就活中は、内定を取ることばかり考えていた。

その先にある学生生活について、ほとんど考えていなかった。

 では、残り半年をどう過ごそう。

社会人になるために資格を取る。

仕事に必要なことを勉強する。

それも大切だ。

 でも、それだけでいいのだろうか。

大学の友人と過ごすこと。

興味のある本を読むこと。

行ってみたかった場所へ行くこと。

学生だからこそできる経験もある。

 社会人になる準備とは、ビジネスマナーを覚えることだけではない。

今という時間を大切に使うことも、次の生活へ向かう準備なのかもしれない。

 健太は手帳の半年先を開いた。

そこには「4月」という文字がある。

まだ半年ある。

でも、半年しかない。

「何をしておこうかな」

 今度の予定は、就活のためではない。

自分のこれからのために考える予定だった。

まとめの一言

 社会人になる準備と同じくらい、残された学生生活を大切に過ごすことも忘れないでほしい。


#就活
#社会人準備
#学生生活 

2026年9月23日水曜日

就活物語 学生生活|就活のない一日が戻ってきた


 説明会も面接も企業研究もない一日。就活を終えた健太に、久しぶりに普通の学生生活が戻ってきました。何も予定のない時間が、以前とは少し違って感じられます。

予定表に「就活」がない日

 水曜日。

目を覚ました健太は、いつものようにスマートフォンで予定を確認した。

そして、少し不思議な気持ちになった。

説明会もない。

面接もない。

応募の締め切りもない。

今日は大学へ行き、授業を受ける。それだけだった。

 春からずっと、頭のどこかに就活があった。

授業中にも面接のことを考え、帰宅すれば求人を探した。

休日でも、「何かしなければ」と落ち着かなかった。

 大学へ向かう途中、健太は友人たちの会話に加わった。

昼休みには学食でゆっくり昼食を食べた。

帰りには本屋へ寄った。

就活とは関係のない本を手に取っている自分がおかしくて、少し笑った。

特別な一日ではない。

 でも、そんな普通の時間が久しぶりだった。

就活が終わると、急に自由な時間が戻ってくる。

その一方で、何をしたらいいのか分からなくなる人もいる。

それだけ就活が生活の大きな部分を占めていたということなのだろう。

 夕方、健太は予定表を開いた。

そこには、空白がいくつもあった。

以前なら不安になった空白。

 でも今は違う。

「この時間、何に使おうかな」

空白は、埋めなければならないものではない。

残された学生生活を、自分で選んで使える時間だった。

まとめの一言

 就活が終わった後の空白は、残りの学生生活を自分らしく過ごすための新しい時間です。


#就活
#学生生活
#大学生活 

2026年9月22日火曜日

就活物語 就活終了|就活が終わった友人と話した日


 久しぶりに会った友人も、すでに就活を終えていました。内定先も就活の進み方も違う二人。それでも話してみると、それぞれに迷いや不安があったことが分かります。

違う道を選んでも同じように迷っていた

 火曜日の午後。

健太は大学近くのカフェで、久しぶりに友人と会った。

友人も就活を終え、春から志望していた会社への入社を決めていた。

「お互い、やっと終わったな」

笑いながら話していると、自然と就活の話になった。

 健太は少し意外だった。

順調に見えていた友人も、何度も落ちていた。

第一志望だと思っていた会社の面接で、自分には合わないと感じたこともあったという。

「ずっと順調なのかと思ってた」

健太が言うと、友人は笑った。

「俺も健太はちゃんと考えて進んでいるように見えてたよ」

お互い、相手の見えている部分だけを見ていた。

 就活中は、友人の内定報告やSNSの情報から、自分だけが遅れているように感じることがある。

けれど、その人がどれだけ迷い、失敗し、悩んだのかまでは見えない。

二人の内定先は違う。

仕事も、会社の規模も違う。

これから歩いていく道も違うだろう。

それでも、どちらが上でも下でもない。

それぞれが考え、それぞれが選んだ道だった。

 店を出る時、健太は春とは違う気持ちで友人の背中を見ていた。

競争していたわけではなかった。

最初から、それぞれの道を歩いていたのだ。

まとめの一言

 就活は誰かとの競争ではありません。それぞれが、自分の道を見つけていく時間です。


#就活
#就活終了
#友人 

2026年9月21日月曜日

就活物語 就活振り返り|不採用だった会社を思い出した


 就活を終えた健太は、ふと春に不採用になった会社のことを思い出します。あの時は悔しくて仕方なかった結果も、今振り返ると、違った意味を持って見えてきました。

あの不採用があったから出会えた会社

 月曜日。

駅前を歩いていた健太は、見覚えのある会社名を目にして足を止めた。

春に応募した会社だった。

説明会に参加し、エントリーシートを何度も書き直した。面接にも進んだ。

そして届いたのは、不採用のメールだった。

あの日はかなり落ち込んだ。

「自分の何がいけなかったんだろう」

何度も考えた。

 けれど今、会社の看板を眺めても、あの頃のような悔しさはなかった。

もし、あの会社から内定をもらっていたら。

そこで就活を終えていたかもしれない。

そうしたら、今の内定先を知ることもなかっただろう。

 もちろん、不採用になってよかったと単純に言えるわけではない。

悔しかった気持ちも、落ち込んだ時間も本物だった。

 ただ、あの結果があったから、自分は会社選びについて考え直した。

名前や規模だけで会社を見るのをやめた。

働く人を見て、仕事内容を調べ、自分が何を大切にしたいのかを考えるようになった。

就活中には「失敗」にしか見えなかった出来事が、時間が経つと違って見えることがある。

 健太はもう一度、会社の看板を見た。

そして、小さく頭を下げるようにして歩き出した。

あの日の不採用も、自分がここまで来るために歩いた道の一部だった。

まとめの一言

 その時は失敗に見えた出来事も、未来から振り返ると、次の道へ進む分岐点だったと気づくことがあります。


#就活
#不採用
#就活振り返り 

それぞれの、働く理由|第2話 多様な働き方|正社員にならなかった私

 「どうして正社員にならないの?」 久しぶりに会った友人から、そう聞かれた。  奈々は二十八歳。 週に四日、図書館で契約職員として働いている。 残りの時間は、自宅でイラストを描いていた。 学生時代から絵を描くことが好きだった。  でも、それだけで生活していく自信はなかった。 だか...