――能力ではなく、配置の問題だった――
その学生の評価は、面接が終わった時点でかなり高かった。
論理的で、落ち着きがあり、質問の意図も正確に捉えている。
「仕事はきちんとできそうだ」
それは、面接官全員の共通認識だった。
だが、議論が進むにつれて、ある違和感が浮かび上がった。
今回募集している部署は、スピードと対人折衝が求められる現場だ。
一方で彼の強みは、分析力と慎重さ、物事を深く考える姿勢にあった。
「この子、企画や管理寄りならすごく合いそうなんだけどね」
そんな声が自然と出た。
実際、別部署の業務を想定して話すと、彼の将来像は驚くほど鮮明になる。
それでも、採用は“今回の募集枠”に限られる。
能力が足りないわけではない。
人柄に問題があるわけでもない。
ただ、今ここに当てはめるには、少し噛み合わなかった。
最終判断は不採用。
だが、決定後の空気は重かった。
「部署が違えば、迷わず採ってた」
誰かがそう言い、誰も否定しなかった。
採用とは、優秀さだけで決まるものではない。
“どこで力を発揮できるか”という配置の問題が、大きく影響する。
彼は、確かに惜しかった。
ただ場所が、少しだけ違ったのだ。
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