――派手さはないが、言葉の端々に熱意が滲む――
面接室に入ってきた瞬間、彼は特別目立つわけではなかった。
声は小さめ、動作も控えめ。
“おとなしいタイプかな”というのが第一印象だった。
だが、話し始めると、その印象は少しずつ変わっていった。
「大学ではロボット研究会に所属していました。
ただ、技術はまだ追いついていません。でも――」
彼は一度言葉を切り、まっすぐこちらを見た。
「完成させる瞬間より、できるようになるまでの過程がすごく好きなんです。」
その一言に、静かな熱が宿っていた。
声は大きくないのに、言葉に芯がある。
自分の好きなことを、飾らず、自然体で語る姿に、私は思わず身を乗り出した。
さらに、彼はロボットの設計ミスで徹夜したエピソードも語った。
苦労話を自慢げに語るのではなく、
「うまくいかない時間も悪くなかったです」
と、少し笑いながら話すその姿が印象的だった。
派手な表現も、大きなアピールもない。
それでも、言葉の端々に滲む“ものづくりへの愛情”がしっかりと伝わってきた。
面接が終わったあと、同席していた女性主任が言った。
「静かなんだけど、すごくいい子ね。ああいう子は伸びるよ。」
情熱とは、声の大きさでは測れない。
目立たなくても、心の奥で燃やし続けている熱がある。
その熱は、確かな成長につながる――そう確信した面接だった。
#面接官の視点
#静かな情熱
#成長する人





