――“バイト”を単なる経験で終わらせていなかった――
アルバイト経験を語る学生は多い。仕事内容、担当していた業務、忙しかった時の工夫――
どれも悪くはないが、それだけだとどうしても“経験の列挙”で終わってしまう。
しかし、その日の学生は違った。
「アルバイトで学んだことは?」と尋ねると、彼は少し考え、静かに話し始めた。
「レジの仕事や接客より、“周りの人が働きやすい状態をつくること”が大切だと気づきました。」
そう言って、彼は一冊の小さなノートを取り出した。そこには、アルバイト中に気づいた改善点や、スタッフ同士の連携を書き留めたメモが並んでいた。
「新人さんが困っている場面を見て、マニュアルの順番が分かりにくいと感じたんです。そこで自分なりに項目を見直して、作業の流れ順に並べ替えました。」
その取り組みがきっかけで、店舗全体の新人研修がスムーズになったという。店長から正式に採用され、今では各シフトリーダーがその資料を活用しているらしい。
単なる“アルバイト経験”ではなく、「どうすれば良くなるか」を自分で考え、行動し、改善につなげたこと。そこに確かな主体性と仕事観があった。
面接が終わったあと、同席していた課長は言った。
「いいね。アルバイトでも、ここまで本気で向き合った経験があるなら、伸びるよ。」
経験そのものより、“どう向き合ったか”がその人の価値を決める。
彼のアルバイト経験は、立派な“仕事の物語”になっていた。
#面接官の視点
#アルバイト経験
#主体性

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