――面接官の緊張をほぐすような温かさ――
面接という場は、学生だけでなく、実は面接官にも独特の緊張がある。
限られた時間で人となりを見極める責任――それは思いのほか重い。
その日の学生は、入室した瞬間から少し違っていた。
丁寧に一礼し、椅子に座る前に「失礼します」と柔らかく声を添える。
その一言だけで、空気がほんの少し和らいだのを感じた。
受け答えは決して派手ではない。
だが、こちらの質問に対して、相手の意図を汲み取ろうとする姿勢が随所に見えた。
面接官が言葉を探していると、急かすことなく、穏やかな表情で待っている。
ある質問で、私が言い回しを言い直したとき、
彼はふっと微笑み、「あ、なるほど。そういうことですね」と自然に応じた。
その瞬間、面接官側の緊張まで解けた気がした。
面接後、同席していた同僚が言った。
「なんだか、こちらまで落ち着いて話せたね。」
人柄とは、特別なエピソードで語られるものではない。
相手を思いやる視線、間の取り方、空気への気配り――
そうした積み重ねが、場を明るくする力になる。
――彼の温かさは、言葉より先に、空気を変えていた。
#面接官の視点
#人柄の良さ
#安心感

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