2025年12月21日日曜日

就活物語「別れ際に印象を変えた学生」

――最後の一言、最後の笑顔が忘れられなかった――


 面接というと、どうしても質疑応答の出来ばえに目が向きがちだ。

だが実際には、評価が大きく動く瞬間は、面接が終わった「その後」に訪れることもある。

 その学生も、面接中はごく平均的な印象だった。

受け答えは丁寧で、準備不足というわけでもない。

ただ、決定打と呼べるほどの強い印象は残っていなかった。

 面接終了を告げ、形式的なやり取りが終わる。

学生が立ち上がり、出口へ向かう――そのときだった。

 彼はドアの前で一度立ち止まり、こちらを振り返った。

「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

とても緊張しましたが、お話できてうれしかったです。」

 そう言って、柔らかく笑った。

作った言葉ではない。

面接官一人ひとりに向けた、素直な気持ちがそのまま表れていた。

 ドアが閉まったあと、部屋に静けさが戻る。

誰かがぽつりと口にした。

「最後、すごく感じがよかったね。」

 面接は、始まりよりも終わりの方が、人柄がにじみ出る。

別れ際の一言、最後の表情――

それは、評価表には書けないが、確かに心に残る要素だ。

 ――彼の笑顔は、面接の記憶を、静かに塗り替えていた。


#面接官の視点
#最後の印象
#人柄 

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