【第34話】誰とでも話せる雰囲気か
ユカは説明会後の座談会で、年次の違う社員に声をかけた。
どの社員もフラットに話してくれたことに、会社の“人間関係の温度”を感じた。
肩書きや年次にこだわらず、誰もが意見を言える空気があるか。
それは、働くうえで想像以上に大切な環境だ。
たとえ過去は変えられなくても、未来はこれからの選択と行動で、いくらでも変えていける。 迷ったり、立ち止まったりしても大丈夫。大切なのは、自分のペースで、自分らしい“道”を見つけていくこと。 このブログは、そんなあなたの一歩をそっと応援します。 あなたの未来が、希望と可能性に満ちたものになりますように。
【第34話】誰とでも話せる雰囲気か
ユカは説明会後の座談会で、年次の違う社員に声をかけた。
どの社員もフラットに話してくれたことに、会社の“人間関係の温度”を感じた。
肩書きや年次にこだわらず、誰もが意見を言える空気があるか。
それは、働くうえで想像以上に大切な環境だ。
【第33話】「就活っぽさ」を捨ててみる
リュウジは最初、質問も表情も“真面目な就活生”を演じていた。
でもある説明会で、社員のラフな話しぶりに肩の力が抜け、自然な自分で話せた。
「就活だから」と自分を固めすぎると、見失うものもある。
“らしさ”よりも、“らしくいられる空気”を感じ取る。
そんな視点も、就活の大切な感性のひとつ。
【第32話】“社員の目線”を借りてみる
ナナはある説明会で、話していた社員にこう聞いた。
「○○さんが学生の頃、どんな視点で企業を選んだんですか?」
その答えには、ネットでは知れない“個人のリアル”があった。
情報を得るだけでなく、“社員の視点を借りる”という発想。
それが、自分にない視野をひらくヒントになる。
【第31話】企業の「言葉遣い」に注目する
マコトは、説明会で使われる言葉のひとつひとつに引っかかっていた。
「人材を“戦力”としか見ていないような表現が多い…」
たった一言が、その会社の“価値観”を表すこともある。
採用を“囲い込み”と表現するか、“ご縁”と呼ぶか。
耳を澄ませば、その会社の“人の見方”が、じんわりと伝わってくる。
就活物語
「誰の言葉で語っているのか」
人事部で採用を担当している私は、ここ数年、応募書類にある“共通点”が増えてきたことに気づいていた。
以前は、学校が作成した「内定者の志望動機集」からの引用が目立った。文末の表現や構成が妙に揃っていたり、企業名だけを差し替えたような文が並んでいたり。経験を聞いても、自分の言葉で語れない学生が少なくなかった。
だが最近、様子が少し違う。
一見、文は整っている。語彙も洗練されていて、読みやすい。しかし、読めば読むほど、どこか“心”がない。なぜか別の応募者の文と構成がほぼ同じだったり、言い回しが機械的だったり。違う学生から届いた志望動機なのに、まるで同じ人が書いたように感じることがある。
「これは…生成AIか」
そう気づいたのは、ChatGPTの存在を知ってからだった。試しに「御社に志望する理由を教えてください」と打ち込んでみた。返ってきたのは、最近よく見るようになった“きれいな、けれど空っぽな”言葉たちだった。
AIを使うなとは言わない。むしろ、活用できる力はこれから必要になる。だが、そのまま貼り付けたような志望動機に、あなた自身の意思はあるのか?
自分の経験、自分の気づき、自分の言葉。そこにこそ、採用担当者は「人」を見出す。完璧じゃなくていい。拙くても、その人の視点が宿っていれば、心に引っかかる。
「あなたは、誰の言葉で語っているのですか?」
私は今日も、履歴書をめくる。
探しているのは、流暢な文章ではない。自分の言葉で、未来を語ろうとする学生なのだ。
就活物語
「説明会で座っているだけだった私」
ナナは、就活が始まってからいくつもの会社説明会に参加していた。遅刻もせず、話もきちんと聞いていた。ノートには企業名や印象的な言葉がびっしりと書かれている。
なのに、ある日、大学の就活支援室で言われた。
「ナナさん、企業から“消極的”って言われることがあるみたいよ。」
信じられなかった。「こんなに真面目に取り組んでるのに…」と、思わず心の中でつぶやいた。
数日後の説明会。ナナは、隣の席に座った男子学生の姿に目を奪われた。
彼は、話を聞くたびにうなずき、メモを取る手も止まらない。そして質疑応答の時間には、真っ先に手を挙げて質問していた。
「ああ、これか…」
ナナは、自分の姿を思い返した。話の途中で下を向きっぱなし。目線も泳ぎ、質問タイムにはいつも沈黙していた。「聞いていた」はずだった。でも、外からは“ただ座っているだけ”に見えていたのかもしれない。
それから、ナナは少しずつ行動を変え始めた。
ノートに書くのはもちろん、顔を上げて目を見て話を聞くようにした。うなずきながら反応を返し、「質問しよう」と決めて一つは事前に準備して臨んだ。
最初はぎこちなかった。勇気も必要だった。
でも、不思議と相手の話も頭に入ってくるようになり、質問を通じて自分の興味や考えも深まっていった。
数週間後、とある企業の方が言ってくれた。
「説明会のとき、前向きな姿勢が印象的でしたよ。」
内側に“やる気”があっても、それが伝わらなければ意味がない。
“伝える姿勢”こそが、ナナにとっての一歩だった。
そう気づいたナナは、次の説明会に向かって、まっすぐに歩き出した。
【第30話】「自分が話す日」をイメージしてみよう
説明会で話す社員の姿を見て、ケイタはふと想像した。
「もし自分が、この会社の社員として後輩に話すなら、どんな話をするだろう?」
その問いが、なぜか胸に残った。
就職はゴールじゃない。
未来の自分が、その場に立つ姿を想像できたなら、きっとそこが“ご縁のある会社”なのだ。
【第29話】他の企業との違いをメモしよう
ハルは複数の説明会に参加するうちに、内容がごちゃごちゃになってきた。
でも、あるとき「他社との違い」をメモするようにしてみた。
それによって、それぞれの個性が際立ち、自分の志望も定まっていった。
“違いを見つけること”は、“自分に合う理由”を見つけることでもある。
【第28話】“居心地のよさ”を過信しない
説明会で社員がとても優しく、会場も穏やかな雰囲気。
アスカは「ここ、居心地いいな」と思った。
けれど、よく考えると、自分が成長できる厳しさも必要だと気づいた。
居心地の良さ=自分に合っている、とは限らない。
心地よさの中に、自分が挑戦できる“余白”があるかを見てみよう。
【第27話】その企業の「未来」を聞いてみよう
リョウはある説明会で、会社の今だけでなく、将来のビジョンに惹かれた。
「この先、どんな成長を描いているのか」
そこに、自分の成長が重なる未来を感じたからだ。
今だけを見て判断するのではなく、会社の“これから”を聞く。
そこに共感できるかどうかも、大切な選択軸になる。
【第26話】「誰と働くか」に敏感になろう
「仕事内容」ばかり見ていたユイナは、ある説明会でこう思った。
「この先輩と一緒に働けたら楽しそう」
仕事内容よりも、“誰と”働くかの方が、案外モチベーションに直結する。
人の雰囲気、話し方、考え方…それらが自分と合うかどうか。
説明会は、その“空気”に触れるための大切な時間なのだ。
【第25話】「知るだけ」で終わらせない
ショウは説明会で感心した。
でも感心して終わっただけで、気持ちが続かなかった。
理由は、自分にどうつながるか考えていなかったから。
企業情報は“知る”だけでは意味がない。
「この会社で、どんな自分になれるか」
それを想像することが、次の一歩を生む鍵になる。
【第24話】声のトーンに注目してみよう
社員の話は丁寧だったけど、どこか熱量を感じなかった――
そんな感覚を、アヤは無視できなかった。
言葉よりも、語り口や表情にこそ、その人の“本音”がにじむことがある。
ワクワクして話しているのか、ルールで話しているのか。
声の温度から、会社の文化が見えてくることもある。
【第23話】自分だけの“興味の切り口”を探す
ミナトは「どこに興味を持っていいか分からない」と悩んでいた。
でも、説明会で「福利厚生」について詳しく質問している学生がいて気づいた。
「興味って、職種だけじゃないんだ」
人それぞれ、気になるポイントは違っていい。
“自分だけの入り口”を持つことが、志望動機の土台になる。
【第22話】“裏話”にこそ真実がある
サオリは説明会中の何気ない雑談に耳を傾けていた。
先輩社員が話す「失敗談」や「入社後のギャップ」。
そこには、会社パンフレットには載っていないリアルが詰まっていた。
一見、余談に見える話こそ、会社の素顔を映している。
気になる言葉があれば、そっとメモしておこう。
【第21話】“企業規模”にとらわれすぎない
大手志向だったタケルは、たまたま参加した中堅企業の説明会で驚いた。
社員が生き生きと話し、仕事の裁量が大きいことに惹かれたのだ。
「企業の魅力って、規模だけじゃ測れない」
ブランドではなく、自分が輝ける場所を探す。
それに気づいた瞬間、選択肢が広がった気がした。
就活物語
「惹かれるか、引っ張るか」
人事部で採用を担当している私は、今日もまた何通もの履歴書に目を通していた。
今年も「御社の安定した業績に惹かれました」という言葉が並ぶ。
それは、ありがたい。私たちが積み重ねてきた努力が、学生たちに届いているということだ。
だが、どこか引っかかる。
“惹かれた”というその言葉に、未来への意志が感じられないのだ。
まるで、すでに完成された場所にただ乗せてほしい、というような印象を受ける。
もちろん、誰だって安定した会社で働きたい。そこに疑いはない。
しかし、私たちが本当に求めているのは、「この業績をさらに前に進めたい」と思える人。
完成された場所に身を置くのではなく、未完成の部分に手を伸ばそうとする人なのだ。
そんなとき、一通の履歴書に目が留まった。
志望動機の欄に、こんな一文があった。
「私は、貴社の地域密着型の営業展開には強みと同時に課題もあると感じました。学生時代に取り組んだ地域活性プロジェクトの経験を活かし、さらなる展開の可能性を広げていきたいと思っています。」
──この一文が、他の学生とは違って見えた。
“安定”に寄りかかろうとせず、“挑戦”の中に自分の居場所を見出している。
その視点が、私たちのチームを支え、時に引っ張ってくれるかもしれない。
そう思った瞬間、この学生に会ってみたい、と心から感じた。
企業は完成形ではない。変化する社会の中で、常に磨き、育て、守るべきものだ。
だからこそ、“何ができるか”を考える人、“一緒に築いていく”意志を持つ人と出会いたい。
私は今日も履歴書をめくる。
“惹かれた”理由ではなく、“引っ張りたい”理由を探しながら。
就活物語
「目を見て話せなかった僕へ」
面接を終えたアユムは、駅に向かう道すがら、何とも言えない違和感を抱えていた。
面接官の表情が、途中から曇っていた。最初は笑顔だったのに、次第に目線を外され、話が早々に切り上げられた。
そして後日届いた結果は「不合格」。その理由には、「やる気が感じられなかった」とあった。
「なんで? あんなに準備したのに。必死だったのに…」
落ち込みながらも、アユムはふと自分の面接の様子を思い出してみた。声が小さく、視線も定まらず、表情も強張っていた気がする。自分では精一杯のつもりでも、その熱意は外には伝わっていなかったのだ。
「やる気って、気持ちだけじゃダメなのかもしれない」
そう思った彼は、翌日から小さな努力を始めた。まずは鏡の前で笑顔の練習。口角を上げることにこんなに神経を使ったのは初めてだった。次に、友人にお願いして模擬面接を繰り返した。話す内容は問題ないと言われたが、「感情が伝わらない」「表情が固い」という指摘が返ってきた。
そこから彼は、“話す内容”ではなく、“話し方”そのものを見直した。話すときは相手の目を見る。声のトーンに強弱をつける。時に頷き、時に少し笑顔を添える。自分を表現するのは言葉だけじゃないと、少しずつ実感し始めた。
そして迎えた次の面接。アユムは、意識して面接官の目を見て話し、自分の想いを丁寧に届けた。結果は…「熱意が伝わってきた」と、初めて言われた言葉だった。
やる気がないんじゃない。やる気の“見せ方”を知らなかっただけだった。
不器用でもいい。少しずつでも伝えようとする姿勢が、きっと誰かに届く。
そう気づいたアユムは、もう一度前を向いた。
【第20話】「感じたこと」を言葉にしよう
ミクは説明会で感動した。でもそれを「良かった」としか表現できなかった。
でも帰宅後、友人に語るうちに、少しずつ言葉になってきた。
「誠実な社風だと感じたのは、社員の対応が自然で丁寧だったからかも」
そうやって、感じたことを具体化していく力が、就活ではとても重要になる。
思いを言葉にできる人ほど、想いは伝わる。
【第19話】メモは“書いたまま”にしない
トモヤは説明会でびっしりメモをとった。
でも、見返さないまま次の選考に進み、「何が印象的だったか」と聞かれて言葉に詰まった。
メモは“記録”ではなく“対話”の道具。
あとで読み返し、そこから何を思ったか、自分の言葉に置き換えてみることが大切だ。
そうして初めて、自分の「志望理由」に変わっていく。
【第18話】説明会は「調べたことを確かめる場」
カナは企業研究をしっかりしてから説明会に臨んだ。
「聞いたことある話ばかりだったけど、それが逆に安心した」
ネットで調べた情報と、実際の説明内容が一致しているか。
それを確かめるだけでも意味がある。
説明会は情報を得る場でもあり、“確かめる場”でもあるのだ。
【第17話】先輩社員の登場に注目せよ
説明会の途中、入社2年目の先輩社員が登場した。
まだ社会人経験の浅いその人の言葉に、ハルは妙なリアリティを感じた。
"実際は...っていう話が聞けてよかった」
若手の話には、飾られていない"生の声"が宿る。
その言葉に耳をすませることで、働くイメージが少しずつ具体的になっていく。
【第16話】自分の“違和感”を見逃さない
エリカは説明会中、社員の言葉に小さな違和感を覚えた。
でも、「考えすぎかな」とスルーしてしまった。
後日、その会社の口コミを調べてみると、自分が感じたのと同じ点に言及している人が何人もいた。
“感じたこと”は、あなたの感性が教えてくれるサインかもしれない。
違和感は、思考を深めるチャンスでもある。
【第15話】「その場で選考予約」には注意
説明会の最後、「このまま選考予約できますよ」と促されたユウト。
勢いで申し込みをしてしまったが、帰りの電車でふと不安に。
「よく考えてないのに、エントリーしてよかったのかな…」
説明会の印象がよくても、その場で決めるのが正解とは限らない。
いったん持ち帰って、自分の気持ちと向き合ってから動く勇気も、大事な選択のひとつ。
【第14話】オンライン説明会も“見られている”
ユイは家で受けるオンライン説明会なら気楽だと思っていた。
でも、画面越しでも、表情や反応の差ははっきり伝わる。
顔が映らないからとスマホをいじったり、他のことをしたりしていると、案外バレるもの。
オンラインでも「一人の社会人としてどう振る舞うか」が見られている。
画面越しの姿勢が、意識の表れになる。
【第13話】社風は「言葉」では伝わらない
「風通しのよい職場です」
「若手にもチャンスがあります」
説明会で何度も聞く言葉だけれど、カオルは思った。
「本当にそうなのかは、雰囲気を見ないと分からないな」
社員同士の距離感、先輩後輩のやりとり、質疑応答の雰囲気…
言葉の裏にある“空気”に目を向けることで、会社のリアルな姿が見えてくる。
【第12話】「なんでもいい」は通用しない
「業界は特に絞っていません」
説明会後の質問タイムでそう答えたユウは、社員の反応が一瞬止まるのを感じた。
“なんでもいい”というのは、“多くのことに興味を持っている”とは違う。
せめて「今は迷っているけれど、この会社に関心を持った理由」を伝えるだけでも、印象は変わる。
自分なりの視点や仮説があること。
それが、関心の深さを伝える第一歩になるのだ。
【第11話】会社の“理念”に耳をすませる
説明会の冒頭、少し堅苦しく聞こえる“企業理念”。
けれど、マナはそれを聞き流さずにメモを取っていた。
帰宅後、その理念が自分の価値観と驚くほど近いことに気づいた。
「ここなら、自分の考えと同じ方向を向けるかもしれない」
企業理念は、会社の“魂”のようなもの。
それに共鳴できるかどうかが、長く働くうえでの大切な軸になる。
就活物語
「読みたくなる履歴書」
人事部で採用を担当して十年。春になると、デスクの上に山のような履歴書が届く。新卒採用の時期だ。会社説明会では、毎回一生懸命に話す。会社の強み、働く魅力、求める人物像——。それでも、いざ提出された履歴書を見ると、心が沈む。
正直に言おう。届いた履歴書の半分は、「読もう」と思えない。志望動機の欄には、「成長できる環境を求めている」とか、「御社の業界に興味があります」といった、どの会社にも通用するような言葉が並ぶ。これが、あの説明会に参加してくれていた学生の書いたものかと思うと、虚しさがこみ上げてくる。
説明会で目を輝かせていたあの学生も、履歴書では“その他大勢”になってしまう。
ある日、ふと手に取った一枚の履歴書。書き出しに「父が長年、御社の製品を愛用しており…」とあった。目を引かれた。読み進めると、彼女はその経験から商品に興味を持ち、自分でも調べ、大学のゼミで関連するテーマに取り組んだという。心に残った。話してみたい、と思った。
そう、読みたくなる履歴書には、「その人らしさ」がある。「なぜこの会社なのか」「どこに共感したのか」が、自分の経験や気持ちと結びついて書かれている。それが伝わると、採用担当者も“その人”をもっと知りたくなる。
企業の説明会でどれだけ想いを語っても、それを受け取って、自分の言葉で返してくれなければ、つながりは生まれない。
学生たちに伝えたい。就活は、無難さを競う場ではない。自分の想いを「あなたの言葉」でぶつけてほしい。それが伝わったとき、履歴書は「紙」ではなく「声」になるのだから。
就活物語
「六十社目の春」
春の終わり、大学の就活掲示板にひとりの学生がそっと手紙を貼った。
「この度、ようやく内定をいただきました。実は、これが60社目の応募でした。」
彼の名はタクミ。真面目で口下手な青年。最初の頃は、数社の不合格通知に心が折れかけた。周りの友人が次々と内定をもらう中で、「自分は価値がないのかもしれない」と何度も思った。それでも彼は、毎回の面接を思い返し、自分の伝え方や表情、受け答えを振り返っては改善を重ね、エントリーシートの表現にも工夫を加えていった。
ある日、彼が尊敬する教授が言った。
「タクミ、不合格は“否定”じゃない。“今のままでは合わなかった”というだけだ。そこにヒントがある。」
その言葉に支えられ、タクミは不合格の理由を自分なりに分析し続けた。人に頼ることが苦手だった彼は、思い切ってキャリアセンターに通い、模擬面接を繰り返した。落ちるたびに、なぜ落ちたかを問い直し、少しずつ“自分らしい表現”を見つけていった。
そして60社目。ある企業の面接で、彼はこう語った。
「私は、多くの不合格を経験しました。でも、それを一つひとつ見つめ直す中で、少しずつ成長してきた実感があります。私は失敗を恐れずに改善を続けられる人間です。」
その言葉に、面接官の表情が変わった。
——そして数日後、彼に初めての内定通知が届いた。
「不合格の数だけ、自分を知った」と彼は言う。
“合わなかった”理由を、決して“自分がダメだから”と受け止めず、“どうすれば伝わるか”と問い続けたその姿勢が、いつしか最大の武器になった。
だから今、彼は伝える。
「不合格は、終わりじゃない。次に進むためのヒントだよ。」
【第10話】“なんとなく良かった”で終わらせない
「雰囲気よかったなぁ…」
そう思ったハルカは、帰りの電車でノートを開いた。
「雰囲気」って、具体的にどう感じた?
社員の笑顔?話し方?質問の受け答え?
その曖昧な“なんとなく”を言葉にしていくことが、自己分析の一歩になる。
言語化することで、自分が大切にしたいことも見えてくる。
就活は、自分の心の動きを言葉にする旅でもあるのです。
【第9話】終了後こそ、本番かもしれない
説明会が終わった後、サナは帰ろうとしたが、
ふと立ち止まって社員に一言だけ声をかけた。
「とても分かりやすいお話でした、ありがとうございます」
その一言に、社員の表情がやわらいだ。
「名前、覚えたよ」――そんなふうに後日、言われたことがある。
説明会後のちょっとした会話や印象が、次の選考にもつながることがある
【第8話】会社説明会は比較の場ではない
「みんなすごい…自分なんて…」
会場で周りの学生がどんどん質問し、積極的にメモをとっているのを見て、
タカシは焦りを感じた。
でも説明会は「他人と競う場」ではなく、「自分と向き合う場」。
どんな情報が気になったか、何が印象に残ったか――
それを振り返るだけでも、就活のヒントは見えてくる。
“他人軸”ではなく、“自分軸”で受け取ることが大切。
【第7話】社員の表情に注目してみよう
説明会で話していた社員が、とても自然に笑っていた。
「この人、ほんとにこの会社が好きなんだな」――ユリはそう思った。
一方で、どこか義務的に話している社員もいた。
会社の雰囲気は、言葉より“空気”にあらわれることもある。
どんな人が働いているか、どんな目をしているか。
そこには、求人票には書かれていない“リアル”がある。
【第34話】誰とでも話せる雰囲気か ユカは説明会後の座談会で、年次の違う社員に声をかけた。 どの社員もフラットに話してくれたことに、会社の“人間関係の温度”を感じた。 肩書きや年次にこだわらず、誰もが意見を言える空気があるか。 それは、働くうえで想像以上に大切な環境だ。