内定式を終えた健太は、まだ就職活動を続けている翔太のことが気になっていました。励ましたい気持ちはあるものの、どんな言葉をかければよいのか分かりません。自分が内定を得たからこそ、相手を傷つけてしまうのではないか。健太は友人との向き合い方を考え始めます。
励ますよりも大切な、相手の気持ちを受け止めること
火曜日の昼休み。
健太は、大学の廊下で翔太を見かけた。
いつもより元気がないように見える。
「翔太、最近どう?」
声をかけると、翔太は少し笑った。
「うん、まあ、ぼちぼちかな」
その表情を見て、健太は何となく察した。
就活が、うまく進んでいないのかもしれない。
「きっと大丈夫だよ」
そう言いかけて、健太は言葉を止めた。
自分も、就活中には何度も不採用を経験した。
そのたびに、周囲から励まされることがあった。
ありがたいと思う一方で、素直に受け取れない日もあった。
「大丈夫」と言われても、何を根拠にそう言えるのだろう。
そんなふうに感じたこともある。
健太は、翔太の隣を歩きながら尋ねた。
「最近、忙しい?」
「うん。就活のこと、いろいろ考えてて」
翔太は、少しずつ話し始めた。
不採用が続いていること。
求人を探しても、自信が持てないこと。
健太は、途中で口を挟まずに聞いていた。
何か役に立つ助言をしなければ。
最初は、そう思っていた。
でも、話を聞いているうちに気づいた。
今の翔太に必要なのは、正しい答えではないのかもしれない。
「そっか。大変だったんだな」
健太がそう言うと、翔太は小さくうなずいた。
友人だからといって、悩みを解決できるとは限らない。
それでも、一人ではないと感じてもらうことはできる。
健太は、翔太と並んで食堂へ向かった。
まとめの一言
就活中の友人を支えるために、必ずしも励ましや助言が必要なわけではありません。相手の話を聞き、気持ちを受け止めることも、大切な支えになります。
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