朝七時。
目覚まし時計が鳴る前に、健一は目を覚ました。
三十五歳。
以前は物流会社の倉庫で働いていた。
荷物の仕分けや在庫管理。
毎日、時間に追われる仕事だった。
忙しい日には、早く休みにならないかと何度も時計を見た。
そんな健一が仕事を離れたのは、半年前のことだった。
体調を崩し、しばらく休職することになった。
最初のうちは、休めることに少し安心していた。
けれど、日が経つにつれて気持ちが変わっていった。
朝起きても、行く場所がない。
誰かに頼まれる仕事もない。
友人たちが働いている時間、自分だけが取り残されているように感じた。
「早く元に戻らなきゃ。」
そう思うほど、焦りが大きくなった。
ある日、久しぶりに職場の先輩から連絡があった。
「元気にしてるか?」
健一は、うまく答えられなかった。
すると先輩は言った。
「仕事のことは気にしなくていい。まずは体を大切にな。」
その言葉を聞いて、少しだけ肩の力が抜けた。
仕事に戻ることばかり考えていた。
でも、今の自分に必要なのは、無理に以前の生活へ戻ることではないのかもしれない。
それから健一は、少しずつ生活のリズムを整え始めた。
朝、決まった時間に起きる。
近所を散歩する。
体調の良い日には、図書館まで歩いてみる。
小さなことばかりだった。
それでも、一日を自分の足で進んでいる気がした。
ある朝、通勤する人たちとすれ違った。
以前なら、焦りを感じていた光景だった。
でも、その日は少し違った。
働けることは、決して当たり前ではない。
そして、働けない時間にも、その人の人生は続いている。
健一は空を見上げた。
いつかまた、自分に合った形で働ける日が来るかもしれない。
今は、その日のために自分を大切にしよう。
そう思いながら、ゆっくりと歩き始めた。
#働くことの意味
#休職と復職
#自分らしい生き方
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