2026年10月10日土曜日

それぞれの、働く理由|仕事の自信|仕事ができる人になりたかった


 「どうして、こんな簡単なことができないんだろう。」

パソコンの画面を見つめながら、直樹はため息をついた。

 二十六歳。

IT企業に入社して四年目になる。

同期の中には、大きなプロジェクトを任されている人もいる。

後輩から頼りにされ、会議でも自信を持って発言している。

直樹も、そんな社会人になりたかった。

 仕事が速く、何でも知っていて、周りから頼られる人。

それが、自分の考える「仕事ができる人」だった。

ところが現実は違った。

新しいシステムの仕様が理解できず、何度も資料を読み返す。

分からないことを先輩に聞くのも気が引ける。

結局、一人で抱え込み、予定より作業が遅れてしまった。

 ある日、進捗会議のあとで上司に呼ばれた。

「直樹くん、どうして早く相談しなかったの?」

責められると思い、うつむいた。

すると上司は、少し笑って言った。

「仕事ができる人って、全部一人でできる人じゃないんだよ。」

直樹は顔を上げた。

「自分に分からないことがあると気づいて、必要な人に助けを求められる。それも大切な能力なんだ。」

その言葉は、意外だった。

 翌日、直樹は思い切って先輩に声をかけた。

「この部分、一緒に確認してもらえませんか。」

先輩は快く応じてくれた。

説明を聞きながら、ようやく問題の原因が見えてきた。

 数日後、作業は予定していた形で完了した。

直樹一人の力ではなかった。

でも、自分から相談したことで仕事が前に進んだ。

 帰り際、後輩が質問に来た。

直樹は少し考えてから答えた。

「そこは僕も迷ったところだよ。一緒に確認しようか。」

後輩は安心したように笑った。

 仕事ができる人になりたい。

その気持ちは、今も変わらない。

ただ、目指したい姿が少し変わった。

何でも一人でできる人ではなく、周りと一緒に仕事を進められる人。

直樹は、そんな社会人になりたいと思った。


#仕事の自信
#相談する力
#社会人の成長 

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