2026年9月26日土曜日

それぞれの、働く理由|第1話 好きな仕事と向いている仕事|夢と現実の間で迷った日


 「本当に、この仕事が好きなの?」

友人にそう聞かれたとき、美咲はすぐに答えられなかった。

 美咲は二十五歳。

大学を卒業してから、食品メーカーの営業部で働いて三年目になる。

学生時代は、デザインの仕事に憧れていた。

色を組み合わせたり、何かを形にしたりすることが好きだった。

けれど、就職したのは営業職。

 最初は、人と話すことも得意ではなかった。

何度も失敗し、向いていないと思ったこともある。

それでも、少しずつ仕事を覚えた。

お客様の話を聞き、困っていることを一緒に考える。

気がつけば、営業成績も安定していた。

「美咲さんは、人の気持ちをくみ取るのが上手だね。」

上司からそう言われたこともある。

 でも、心のどこかに小さな疑問が残っていた。

好きだったデザインの道を選んでいたら、今頃どうなっていただろう。

ある日、担当するお店から相談を受けた。

新商品の売り場を、もっと魅力的にしたいという。

美咲は思い切って、商品の並べ方や色の組み合わせを提案した。

 数日後、お店から連絡があった。

「おかげで、お客様が足を止めてくれるようになりました。」

その言葉が、うれしかった。

営業の仕事をしているからこそ、デザインの知識を生かせる場面がある。

好きなことと、向いていること。

ずっと別々のものだと思っていた。

 でも、必ずしもどちらかを選ばなければならないわけではない。

帰り道、美咲は少し笑った。

今の仕事の中にも、自分の好きなことを見つけられる。

そんな働き方があってもいいのかもしれない。


#好きな仕事
#向いている仕事
#キャリアの選択 

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