「どうして正社員にならないの?」
久しぶりに会った友人から、そう聞かれた。
奈々は二十八歳。
週に四日、図書館で契約職員として働いている。
残りの時間は、自宅でイラストを描いていた。
学生時代から絵を描くことが好きだった。
でも、それだけで生活していく自信はなかった。
だから、安定した収入を得ながら、自分の好きなことも続けられる働き方を選んだ。
もちろん、不安がないわけではない。
契約更新の時期が近づくと落ち着かない。
収入も、正社員の友人たちと比べれば少ない。
将来のことを考えると、眠れない夜もある。
「正社員になった方が安心じゃない?」
友人の言葉は、決して間違っていないと思う。
でも、奈々には大切にしたい時間があった。
図書館で子どもたちに本を紹介する時間。
家に帰って、机に向かい、好きな絵を描く時間。
どちらも、今の自分にとって必要なものだった。
ある日、図書館で小さな女の子が声をかけてきた。
「この前のお姉さんが教えてくれた本、面白かったよ。」
奈々は思わず笑顔になった。
その夜、自宅でイラストを描きながら、ふと思った。
働き方には、それぞれ良いところも難しいところもある。
正社員という選択も、今の自分の選択も、どちらかが正解というわけではない。
大切なのは、自分が何を守り、何を大切にして生きていきたいか。
奈々は描きかけの絵に、もう一度色を重ねた。
将来の答えは、まだ出ていない。
それでも今は、この働き方を自分で選んでいる。
その気持ちを、大切にしたかった。
#多様な働き方
#正社員以外の働き方
#自分らしい生き方

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