新人研修が始まって一週間。
今日は、名刺交換の実習があった。
学生時代には経験したことのない時間だった。
名刺を両手で持つ。
お辞儀をする。
名前を名乗る。
頭では理解している。
けれど実際にやってみると、思うように動けなかった。
「よろしくお願いいたします」
声が少しだけ上ずる。
手元を見る。
そこには、自分の名前が印刷された名刺。
不思議な気持ちになった。
学生だった頃は、名前を書いて提出することはあっても、自分の名前を“会社の代表として渡す”ことはなかった。
一枚の名刺。
けれど、その重みは思った以上に大きかった。
実習が終わったあと、名刺を見つめる。
会社名。
部署名。
そして自分の名前。
少し前まで就活生だった自分が、今は会社の一員としてここにいる。
その事実を、初めて実感した日だった。
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