2025年11月30日日曜日

就活物語「本音で話した学生」

――面接用の言葉ではなく、自分の言葉で話した真実味――


 面接をしていると、耳に馴染んだ言葉がよく飛び交う。

「御社の理念に共感しました」「チームワークが得意です」――

もちろん悪いわけではないが、どうしても“面接用”の響きが残る。

 その日の学生も、最初は同じような自己紹介だった。

だが、ある質問をきっかけに空気が変わった。

 「就職活動をしていて、正直しんどかったことはありますか?」

 この問いに、彼は一瞬だけ迷った表情を見せ、

そのあと、深く息を吸って話し始めた。

 「正直に言うと……“自分には何もないんじゃないか”と思ったことがありました。

周りの友達が次々と内定をもらって、焦って、比べて、落ち込んで。

でも、そんなときに指導教員が“できない自分も含めて受け入れろ”と言ってくれて……

そこから少しずつ、“見せたい自分”じゃなくて“等身大の自分”で話せるようになりました。」

 その言葉は飾らず、まわりくどくもなく、

まっすぐ胸に届いた。

 面接官としてではなく、一人の大人として、

「ああ、この子は強いな」と思った。

 うまく話そうという意図が消えたとき、

人の言葉は驚くほど力を持つ。

本音は、不器用でも、聞く人の心に深く残る。

 面接後、同席していた部長が静かに言った。

「素直に弱さを見せられるのは、誠実さの証拠だね。」

 ――面接とは、飾る場ではなく、自分を“開く”場でもある。

そのことを、この学生があらためて思い出させてくれた。


#面接官の視点
#本音で語る
#誠実さ 

2025年11月29日土曜日

就活物語「過去より“これから”を語る学生」

――将来を見据えた話し方に可能性を感じた――


 面接が始まってしばらく、彼の話し方には静かな落ち着きがあった。

自己紹介も経歴も簡潔で、特別派手なエピソードはない。

「少し控えめなタイプかな」――最初はそう感じていた。

 だが、印象が変わったのは、こちらが将来について尋ねた時だった。

 「あなたは、これからどんな社会人になりたいですか?」

 彼は迷いなく答えた。

「自分は、まだ特別な強みがあると思っていません。

でも、これから5年の間に、“人に任せてもらえる人”になりたいです。」

 その言葉の選び方が良かった。

“できるようになりたい”ではなく、

“任せてもらえる人になりたい”――その視点には、確かな未来があった。

 さらに彼は続けた。

「大学でも、役割を与えられると力を発揮できることに気づきました。

だから就職後は、まず任される仕事を一つずつ確実に仕上げたい。

その積み重ねの先で、後輩を支えられる立場になりたいです。」

 語ったのは、過去の成功ではなく、これからの成長計画。

しかも、曖昧な夢ではなく、現実的で、組織の中での役割を意識した視点だった。

 面接後、同席していた部長が言った。

「伸びる学生って、未来の描き方が違うよね。」

 過去を飾ることに力を使う学生は多い。

だが、“これからどう変わりたいか”をまっすぐ語れる学生には、たしかな可能性がある。

未来を自分の言葉で語れる人は、組織の中で確実に成長していく――そう感じさせる面接だった。


#面接官の視点
#将来性
#成長する人材 

2025年11月28日金曜日

学生の発見「“働く人の優しさ”に触れた日」


 インターン初日、私は緊張で足がすくみそうだった。

オフィスに入ると、社員の方が「おはよう、よく来たね」と笑顔で迎えてくれた。

その一言で、肩の力が少し抜けた。

 ワーク中、意見が浮かばず黙ってしまったときも

「大丈夫、まずは聞くところから始めよう」と優しく声をかけてくれた。

 昼休みには、社員の方が自席で話しかけてくれた。

「学生のうちに色々挑戦してね。失敗しても、その経験がぜんぶ財産になるから。」

 その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がじんわり温かくなった。

 働く人って、厳しいだけじゃない。

“支えてくれる存在”でもあるんだ。

 インターンは、“働く優しさ”に触れた日だった。


#インターン体験
#学生の気づき
#働く人の優しさ 

2025年11月27日木曜日

現場担当者の気づき「“仕事の誇り”を思い出させてくれた学生」


 日々の業務に追われていると、仕事への誇りをつい忘れる。

インターンの説明担当を任されたときも、正直「忙しい時期に…」と思っていた。

 しかし、学生たちの眼差しがその気持ちを一変させた。

「この工程ってどうして必要なんですか?」

「ここが一番やりがいを感じる瞬間なんですね」

 素直な質問が次々飛んでくる。

私は久しぶりに、自分の仕事の価値を言語化した。

すると、初心を取り戻したような気持ちになった。

 帰り際、学生が言った。

「この仕事、すごく素敵ですね。」

その言葉に、疲れが一気に吹き飛んだ。

 インターンは、学生だけでなく現場の私たちにも気づきをくれる。


#企業現場の声
#初心を思い出す
#学生のまなざし 

2025年11月26日水曜日

人事担当者の本音「“完成形”の学生より、伸びしろのある学生が光る」


 インターンでは“完成された学生”に出会うこともある。

説明もうまく、議論も積極的で、見ていて安心感があるタイプだ。

しかし、私たち人事が心を動かされるのは、実はそういう学生ではない。

 ある学生は、初日は緊張して言葉が詰まり、周囲に圧倒されていた。

だが2日目の後半、ふと気づくと、彼はグループの裏で資料整理を黙々と手伝っていた。

「自分にできることを探したかったんです」と、はにかんだ笑顔。

 その姿勢に、私は胸が温かくなった。

 企業が欲しいのは、スーパーマンではなく

“学びながら成長できる人”。

 インターンは、その本質を確かめる時間なのだと改めて感じた。


#企業人事
#伸びしろ採用
#インターンの本質 

2025年11月25日火曜日

キャリア職員の実感「挑戦した学生ほど、変わって帰ってくる」


 インターン前は、学生の表情はどこか曇っていることが多い。

「自信がない」「自分には向いていない気がする」

そんな言葉を聞くたびに、私たちは背中をそっと押す。

 ある学生は、面談のたびに俯いていた。

それでも勇気を出して、3日間のインターンに参加した。

 戻ってきたときの表情は別人のようだった。

「分からないことを素直に聞いたら、ちゃんと受け止めてもらえて…。人ってあったかいですね。」

その言葉に、胸がじんわり熱くなった。

 キャリアセンターの仕事は、魔法ではない。

だけど、環境に学生を送り出すことで、彼らが自分で変わっていく瞬間を見られる。

それが、何よりのやりがいだ。


#大学キャリアセンター
#挑戦する学生
#支援の現場 

2025年11月24日月曜日

インターン体験「“自分の弱さ”と初めて向き合った日」


 インターンのグループワークで、私はうまく話せなかった。

隣の学生は意見をどんどん出し、場をまとめていく。

その姿を見ているうちに、胸の奥がぎゅっと縮むような感覚におそわれた。

 “私は何もできていない…”

そんな思いが頭の中をぐるぐる回った。

 昼休みに社員の方が声をかけてくれた。

「気づけただけで十分だよ。弱みは伸びしろだから。」

その言葉にふっと心が軽くなった。

 午後のワークでは、視点整理やメモ取りなど、できることに集中してみた。

すると、チームの一人が「それ助かる!」と笑顔を向けてくれた。

 ――弱みを知ることは、ダメになることじゃない。

“自分の役割”を知るための第一歩なんだ。

 インターンは、思っていたよりずっと“自分と向き合う場”だった。


#インターン体験
#学生の成長
#弱みとの向き合い方 

2025年11月23日日曜日

就活物語「チームで輝くタイプ」

――主張よりも支える姿勢で評価された学生――


 面接室に入ってきた彼は、決して目立つタイプではなかった。

声も落ち着いていて、自己PRも控えめ。

だが、話を聞くうちに「この子はチームでこそ輝くタイプだ」と直感した。

 「サークルでの役割は?」と尋ねたとき、

彼は少し照れながらこう答えた。

「自分は…リーダーではないんです。ただ、メンバーが進めやすいように、資料を整えたり、会議の進行をサポートしたりしていました。」

 華やかさはない。

だが、話を深掘りすると、その姿勢に揺るぎない一貫性があった。

 「意見が割れた時はどうしましたか?」と尋ねると、

彼は即答した。

「全員の意見を書き出して、共通する部分を探しました。

結論はリーダーに任せますが、まず“みんなの言葉”を整理したくて。」

 その言葉に、面接官として胸を打たれた。

リーダーシップは前に立つだけではない。

後ろから支え、チーム全体を前に進ませる力も、立派なリーダーシップだ。

 面接後、同席していた課長が言った。

「強く主張しないタイプだけど、組織に入ったら確実に必要な存在だね。」

 主張よりも“支える姿勢”でチームを動かしてきた学生。

目立たなくても、誰よりもチームを理解し、動かす力を持っている。

そういう人材こそ、組織の土台を支える大切な存在なのだと思う。


#面接官の視点
#チームワーク
#支えるリーダーシップ 

2025年11月22日土曜日

就活物語「自分の弱みを語れた学生」

――自己分析が深く、成長への意志が明確――


 面接の中で、「あなたの弱みを教えてください」という質問ほど、学生を悩ませるものはないだろう。

多くの学生は、強みに言い換えようとする。「完璧主義なところです」「責任感が強すぎて…」――そんな答えを何度も聞いてきた。

 だが、その日の学生は違った。

少し間を置いてから、落ち着いた声で言った。

「自分は、人に頼ることが苦手です。全部自分で抱え込んで、結局遅れてしまうことがありました。」

 正直な言葉だった。

私は思わず姿勢を正した。

彼は続けた。

「でも、ゼミでの共同研究を通して、“頼ることは甘えじゃない”と気づきました。

自分が助けられたときに、相手も嬉しそうにしてくれて…。

それ以来、役割を共有して、チーム全体で成果を出すことを意識しています。」

 その語り口には、自己否定ではなく、“成長の実感”があった。

弱みを隠さず、学びに変える力――それはどんなスキルよりも価値がある。

 面接後、上司がぽつりと言った。

「素直さって、やっぱり強いな。」

 弱みを語る勇気は、自分を見つめる誠実さの証だ。

そしてそれを言葉にできる人こそ、組織の中で確かに成長していくのだと思う。


#面接官の視点
#自己分析
#成長意欲 

2025年11月21日金曜日

保護者の本音「インターンって何をするの?」


 息子が「インターンに行ってくる」と言い出したのは、大学3年の秋だった。

昔はそんな制度がなかったから、正直よく分からなかった。

“バイトみたいなもの?会社見学?”

そんな程度の理解だった。

 帰ってきた息子は、少し誇らしげな顔をしていた。

「社員さんがすごく親切でさ、仕事ってこういう感じなんだって分かったよ。」

 その表情を見て、胸がじんわり温かくなった。

インターンは、ただの就活イベントではなく、

――子どもが大人への階段を登るきっかけなのだと気づいた。

 親としてできるのは、ただ背中を押すことだけだと思った。


#保護者の視点
#今どきの就活
#子の成長 

2025年11月20日木曜日

現場の声「学生の“目の輝き”が思い出させてくれたもの」


 インターン当日、私は部署説明と仕事体験の担当を任された。

普段の業務に追われていると、仕事の本質を見失いかけることがある。

でも、学生が真剣にメモをとり、質問を投げかけてくる姿を見ると、初心を思い出す。

 特に印象に残っている学生がいた。

「どうしてこの仕事を続けられているんですか?」と聞かれたとき、言葉が詰まった。

改めて考えさせられる質問だった。

 「…お客様が喜んでくれる瞬間が嬉しいからかな。」

答えながら、胸の奥が熱くなった。

 学生の純粋な目は、私たち大人の心に火を灯す。


#現場の視点
#初心を思い出す
#インターンの力 

2025年11月19日水曜日

人事が語る「学生の“素の良さ”が見える瞬間」


 インターンシップは、採用よりも“人を見る”時間だと思っている。

面接では緊張して本来の力が出せない学生も、ワークや現場見学の中では自然な表情を見せてくれる。

 ある年、評価が分かれた学生がいた。

ワークではあまり発言しないが、グループの空気を整えていることに気づいた。

昼休みに声をかけると、彼は「人前で話すのは苦手ですが…皆さんの意見を整理して考えるのが好きです」と話してくれた。

 ――その一言で、印象ががらりと変わった。

発言の多さだけでなく、それぞれの“強みの形”がある。

 インターンシップは「学生を評価する場」ではなく、「学生を理解する場」。

そう気づかされる瞬間が、毎年必ずある。


#企業人事の視点
#学生理解
#素の魅力 

2025年11月18日火曜日

大学キャリアの現場「成長の瞬間に立ち会えるしあわせ」


 秋のインターンシップ期間が近づくと、キャリアセンターは慌ただしくなる。説明を聞きに来る学生、エントリーシートの添削、面談……。

その中で、特に印象に残る学生がいた。

 「人見知りで…インターンなんて無理です」と俯いた彼女。

それでも勇気を出して参加し、終了後センターへ戻ってきたとき、表情が明らかに変わっていた。

 「社員さんがすごく優しくて…。私でも頑張れるかもしれないって思えました。」

 私は心の中で静かにガッツポーズをした。

インターンは、学生の“自己効力感”を育てる場だと、毎年のように感じる。

 企業と学生をつなぐことが、こんなにも尊いとは、キャリアセンターに来るまで気づかなかった。

今日もまた、一歩成長した学生が、未来に向かって歩き出す。


#キャリアセンター
#学生支援の現場
#成長に立ち会う喜び 

2025年11月17日月曜日

インターン体験「初めて“働く意味”がわかった日」


 大学3年の秋、周りが次々とインターンに参加し始めて、私も「とりあえず受けてみよう」と軽い気持ちで応募した。

参加した企業は、少人数で行うワーク形式の1day。最初は緊張で声が震えていたが、社員の方が「大丈夫、失敗していい場だからね」と笑ってくれたのが救いだった。

 グループワークでは、意見をうまく伝えられない自分に気づいた。けれど、同じ学生が「その視点いいね」と拾ってくれた瞬間、胸の奥が温かくなった。

――社会って、競い合うだけじゃないんだ。

そんな気づきが芽生えた。

 最後の発表で、社員の方に言われた。

「君の強みは“相手の意図をくみ取れること”。それは仕事で大きな武器になるよ。」

その言葉が、帰り道ずっと心に残った。

 この日を境に、私は就活を“自分がどう働くかを探す時間”として見られるようになった。

インターンは、未来の自分を想像する小さな窓だった。


#インターン体験
#学生の視点
#気づきの瞬間 

2025年11月16日日曜日

就活物語「“ありがとう”の一言で変わった空気」

――面接後の一言が印象を変えたエピソード――


 最終面接の終盤、すべての質問を終えて「では、これで面接を終了します」と告げたときだった。

その学生は、立ち上がる直前に一度深呼吸し、少し照れくさそうに言った。

「本日は、面接というより“学びの時間”をいただいた気がします。ありがとうございました。」

 ありふれた言葉――けれど、その一言には、作られた感じがまるでなかった。

誠実な声のトーン、目線、姿勢。どれもが自然で、心からの感謝だと伝わってきた。

その瞬間、面接室の空気がふっと柔らかくなった。

 彼の受け答えは決して完璧ではなかった。

緊張から言葉に詰まる場面もあったし、論理が少し飛んだ回答もあった。

それでも、“ありがとう”の一言が、それらを帳消しにしてしまうほどの温かさを持っていた。

 形式ばった面接が終わったあとも、上司がぽつりとつぶやいた。

「やっぱり、最後に人柄が出るね。」

 面接というのは、評価をつける場のようでいて、実は“印象を通じて人間を見る場”でもある。

どんなに準備を重ねても、最後の一言に本音が宿る。

そして、“ありがとう”は、最もシンプルで、最も心を動かす言葉なのだ。

 ――感謝の一言が、印象を変えることがある。

それは、社会に出てからも通じる大切な力だと、あらためて感じた。


#面接官の視点
#感謝の言葉
#人柄が伝わる瞬間 

2025年11月15日土曜日

就活物語「準備の深さに感服した瞬間」

――自社への理解・資料分析力が群を抜いていた学生――


 インターン選考前の個別面談。

私はいつものように学生の志望動機を聞きながら、軽い雑談を交えようとしていた。

だが、目の前の男子学生は、少し違っていた。

 「御社の新規事業についてお伺いしたいのですが――」

そう切り出すと、彼は手元のノートを開いた。

そこには、会社の公式サイトや業界誌の記事、さらにはIR資料をもとにした手書きのメモがびっしりと書かれていた。

 「この2年間の投資推移を拝見して、重点領域が“デジタル化”と“地域連携”に移っていると感じました。

もし私が参画できたら、地域マーケティングのデータ整備に貢献できると思います。」

話しながら、彼はノートを閉じ、こちらの目をまっすぐ見た。

 表面上の情報を並べるのではなく、自分なりに“考え抜いた軸”があった。

言葉の一つひとつに説得力があり、熱意が数字に裏づけされていた。

 面談が終わったあと、私は同席していた同僚に言った。

「彼、学生の立場でここまで読み解くとは思わなかったな。」

資料を“調べる”で止めず、“理解し、自分の考えに変換する”――その姿勢に感服した。

 準備とは、相手を尊重する行為そのものだ。

彼のノートには、単なる知識ではなく、“誠意”が刻まれていた。


#面接官の視点
#企業研究
#誠実な準備 

2025年11月14日金曜日

就活リアル「働く場所を見て、未来が少し現実になった日」


 内定先から「内定者懇談会」の案内が届いた。

集合場所は、本社ビルのエントランス。

スーツ姿で向かう途中、心臓が少しだけ速く打っていた。

 自動ドアが開いた瞬間、冷たい空気とともに、静かな緊張感が流れ込んでくる。

受付の奥には社員らしき人たちがテキパキと行き交っていた。

“ここで自分も働くのか…”

その光景を見ただけで、言葉にできない重みが胸に広がった。

 会の最後に、先輩社員が笑顔で言った。

「今日のこと、きっと忘れないと思うよ。社会人になる実感って、こういう瞬間にくるんだ。」

 帰り道、ビルを見上げた。

ガラスに映る自分の姿が、少しだけ頼もしく見えた。

この場所で、どんな日々が待っているんだろう。

そんな“未来の自分”を、ほんの少し想像できた日だった。


#内定者のリアル
#社会人への実感
#未来を見つめて 

2025年11月13日木曜日

就活リアル「内定後、やる気が出ない自分に戸惑った」


 内定が決まってから、どうも気が抜けてしまった。

面接の日々に比べて、時間に追われることもない。

SNSでは「旅行行ってきた」「卒論始めた」といった投稿が流れてくる。

焦るほど、動けなくなる自分がいた。

 “あんなに頑張ってたのに、なんで今は何もやる気が出ないんだろう”

そう思っていたとき、キャリアセンターの先生に言われた。

「それは自然なことだよ。ずっと走ってきたんだから、少し休まないとね」

 その言葉に、肩の力が抜けた。

就活は“終わり”じゃなくて“一区切り”。

次に進むための準備期間でもある。

 少しずつ部屋を片づけて、内定先の会社について調べ直した。

焦らず、一歩ずつ。

もう一度、自分のペースで前に進めばいい。

そう思えた夜、久しぶりに心が軽くなった。


#内定者のリアル
#燃え尽き症候群
#ゆっくり前へ 

2025年11月12日水曜日

就活リアル「“社会人になる”って、こういうことかも」


 内定先の会社から、初めてのメールが届いた。

「入社までに読んでおいてほしい資料をお送りします」

添付された分厚いPDFを開くと、ビジネスマナーや社内制度、社会保険の説明がずらりと並んでいた。

 最初は「難しそうだな」と感じた。でも、ページをめくるたびに、これまで“学生の延長”のように考えていた自分が少しずつ変わっていくのを感じた。

――この会社の一員として、責任を持つ。

その言葉の重みが、胸に少しだけ響いた。

 SNSで「春から社会人!」と浮かれる投稿を見て焦っていた自分。

でも今は、焦りよりも“覚悟”が近い感情に変わっている。

 社会人になるというのは、完璧になることじゃない。

誰かに頼られ、応えようとする心を持つこと。

その第一歩を、今、踏み出した気がした。


#内定者のリアル
#社会人になる準備
#覚悟の一歩 

2025年11月11日火曜日

就活リアル「社会に出る準備、まだできてないかも」


 内定式を終えた帰り道、スーツ姿の自分がガラスに映った。

周囲のビル街を歩く人たちと同じように見える。でも、心の中ではまだ学生のままだ。

「本当に社会に出る準備、できてるのかな…」

ふとそんな思いがよぎった。

 入社まで半年。メールの返信も、報告書の書き方も、何ひとつ自信がない。

SNSでは同期たちが「春から社会人!」と笑顔で投稿している。

その眩しさに、少し取り残された気がした。

 でも夜、自室で見返した就活ノートには、震える文字で書かれた言葉があった。

「わからなくても、やってみよう。」

不安を抱えながらも挑戦し続けた自分が、確かにそこにいた。

 準備なんて、完璧にできるものじゃない。

大事なのは、怖くても踏み出す勇気。

あの日、内定をもらった“あの瞬間”から、

社会に出る一歩はもう始まっているのかもしれない。


#内定者のリアル
#社会人になる前に
#不安と希望のはざまで 

2025年11月10日月曜日

「“同期”と呼べる人ができた日」


 内定者研修の最終日。

朝から資料の最終確認をしていた真央の胸には、どこか晴れやかな気持ちがあった。

数日前まで“初対面”だった同期たちが、いまは笑顔で言葉を交わしている。

 最後のプレゼン発表が終わると、講師が言った。

「みなさん、立派でした。次に会うときは“社員”ですね。」

 拍手が起きた。

真央は亮太と目を合わせ、小さくうなずく。

「おつかれさま!」――その一言に、これまでの努力が報われた気がした。

 昼休み、同期みんなで写真を撮った。

カメラのタイマーが光る瞬間、誰かが「せーの!」と声をあげる。

笑いながら、真央は思った。

“たった数日なのに、仲間ってできるんだな。”

 帰りの電車の窓に映る自分の顔は、少し大人びて見えた。

社会人になる不安よりも、仲間と一緒に進む未来への期待のほうが大きかった。


#内定者研修最終日
#同期の絆
#社会人のはじまり 

2025年11月9日日曜日

就活物語「笑顔のタイミングが上手い子」

――相手を安心させる“場の空気づくり”の力――


 面接という場は、誰にとっても緊張するものだ。

だが、その緊張を自然に和らげてくれる学生がいる。

それは、笑顔のタイミングが上手い子だ。

 ある女子学生の面接を担当したときのこと。

彼女は最初、丁寧に礼をしてから少し硬い表情で座った。

だが、質問に答えるうちに、時折ふっと笑顔を見せる。

その笑顔が、わざとらしくない。自然で、場の空気をふんわり変える力を持っていた。

 「失敗したとき、どう対処しましたか?」と尋ねると、

「最初は焦りましたが、先輩に助けられて…そのとき“頼ることもチーム力だ”って気づいたんです」と、

照れくさそうに笑った。

 その瞬間、こちらも思わず笑顔になった。

面接官と学生という立場を超えて、人と人としての距離が一気に縮まった気がした。

 終わったあと、同席していた上司が言った。

「彼女、話し方は控えめだけど、場を明るくする力があるね。」

 面接は、“自分を見せる”だけの時間ではない。

相手に安心感を与える力も、社会では立派なコミュニケーションスキルだ。

 ――笑顔のタイミングが上手い学生。

それは、相手の心に寄り添う力を持った人なのだと思う。


#面接官の視点
#笑顔の力
#コミュニケーションスキル 

2025年11月8日土曜日

就活物語「第一印象で終わらせない学生」

――緊張していたが、終盤で一気に心を掴んだ展開――


 最初の5分で、「あ、この子は緊張しているな」と感じる学生は多い。

声が小さく、目線が定まらず、言葉もたどたどしい。

面接官としては、どうしても「大丈夫かな?」という印象を持ってしまう。

 だが、その印象が見事に覆された学生がいた。

彼は最初、質問に対しても控えめな受け答えだった。

けれども、「学生時代に力を入れたこと」を尋ねたとき、空気が変わった。

 「実は、部活で後輩の育成を任されたことがあって――」

そう語り出した瞬間、声に力が宿った。

仲間との衝突、悩み、そして最後にチームが笑顔になった瞬間を話す彼の姿は、さっきまでの緊張した学生とはまるで別人だった。

 面接官の私たちは、いつの間にか聞き入っていた。

話の終わりに、彼が少し照れくさそうに言った。

「自分でも、こんなふうに人と向き合えるとは思いませんでした。」

 面接後、同席していた部長がつぶやいた。

「最初は静かだったけど、最後には“人柄”が伝わってきたね。」

 第一印象で評価が決まることもあるが、

それを覆す力を持つのも、やはり“本気で語れる経験”だ。

 ――緊張してもいい。大事なのは、途中で心を開けるかどうか。

彼の面接は、それを教えてくれた時間だった。


#面接官の視点
#第一印象を超える
#本気の瞬間 

2025年11月7日金曜日

「“できたね”の笑顔が、チームのはじまり」


 内定者研修の二日目。

グループワークのテーマは「新入社員としての理想の働き方」。

 真央たちは四人チームで、模造紙に意見を書き出していた。

最初はぎこちなかった会話も、少しずつ笑いが増えていく。

「その言い方いいね」「それ、まとめよう!」――

アイデアが重なり、紙の上に一つの形が見えてきた。

 プレゼン本番。緊張で手が少し震える。

でも、隣で亮太が小さく頷いた。

その合図で、不思議と安心できた。

 発表が終わると、拍手が起きた。

「やったね!」

声をかけ合い、自然と笑顔になる。

 真央はその瞬間、思った。

“社会人って、一人で頑張ることじゃないんだ。”

誰かと力を合わせて、何かを作り上げること。

それが、これから歩く道の最初の一歩になる気がした。


#内定者研修
#チームワーク
#社会人の学び 

2025年11月6日木曜日

「名札の重みが、少しだけ変わった日」


 研修会場のドアを開けると、明るい声が響いた。

「おはようございます!」

内定者研修の初日。真央は胸に社員証をかけながら、少し緊張した面持ちで席に着いた。

 講師の話を聞きながら、周りの同期たちの表情を見る。

みんな真剣な眼差しで、メモを取っている。

数か月前まで同じように学生だった人たちが、どこか“社会人”の顔をしていた。

 ふと手元の名札を見つめる。

そこには、自分の名前の横に「〇〇株式会社」のロゴ。

文字の小さな輝きに、責任と期待の重みを感じた。

 グループワークでは、意見を交わしながら笑い合う瞬間もあった。

「社会人になるって、こういうことなのかもしれない」

真央はふとそう思いながら、資料をめくった。

 帰り道、窓に映る自分の顔が少し大人びて見えた。

名札のストラップを指でなぞる。

それは、学生から社会人へと続く小さな架け橋だった。


#内定者研修
#社会人の第一歩
#学生から社会人へ 

2025年11月5日水曜日

「画面の向こうの“同期”が、目の前にいた」


 春の風が少し冷たさを残している朝。

真央は、内定者懇親会の会場に向かって歩いていた。

手にはスマホ。グループチャットには「今、着きました!」の文字が並んでいる。

 エレベーターの扉が開くと、同じように少し緊張した顔の学生たちが立っていた。

「…あ、〇〇大学の真央さん?」

声をかけてくれたのは、チャットでよく話していた亮太くんだった。

 画面の中では何度もやり取りしたのに、実際に会うと不思議な気持ちになる。

「ほんとにいるんだな」――そんな言葉が、頭をよぎった。

 自己紹介や雑談が始まり、少しずつ笑顔が増えていく。

「同期って、こんな感じなんだ」

真央の胸の奥に、少しずつ“仲間”という感覚が広がっていった。

 帰り道、春の風が頬をなでた。

今日、少しだけ“社会人になる”ということが近づいた気がした。


#同期との出会い
#内定者懇親会
#社会人のはじまり 

2025年11月4日火曜日

「“よろしく”の文字に、未来の輪が広がった」


 ある夜、スマホの画面に新しい通知が届いた。

「〇〇株式会社 内定者グループ」――招待リンクの文字が光っていた。

 少し迷ったあと、真央は“参加する”をタップした。

画面にはすでに何人かの名前と、「よろしくお願いします!」のメッセージが並んでいる。

 見知らぬ人たち。でも、同じ会社で、同じ春を迎える仲間。

短い挨拶の言葉一つひとつが、なぜかあたたかく感じられた。

 真央も勇気を出して、入力欄に指を置く。

「〇〇大学の真央です。よろしくお願いします!」

 送信ボタンを押す瞬間、少しだけ心臓が高鳴った。

すぐに「よろしく!」「同じ部署かも!」と返信が返ってくる。

そのテンポの早さに、思わず笑みがこぼれた。

 ひとりで頑張ってきた就職活動。

でも、これからは“仲間”と一緒に進む。

画面の中の会話が、未来への希望を照らしていた。


#内定者グループ
#同期とのつながり
#社会人の準備 

2025年11月3日月曜日

「封筒の中にあった、未来への招待状」


 郵便受けに分厚い封筒が届いていた。

差出人の欄には「〇〇株式会社 人事部」の文字。

真央は少し息を呑んで、ゆっくりと封を開けた。

 中には入社までのスケジュール、研修案内、提出書類――。

白い紙の束が、まるで“社会人としての地図”のように感じられた。

 「この会社で働くんだ」

頭ではわかっていたけれど、目の前の現実はどこか新鮮で、そして少し怖い。

 ページの端に、採用担当者からの手書きのメッセージがあった。

「春にお会いできるのを楽しみにしています。」

 その一文を見て、胸がじんと温かくなる。

自分は、もう“学生”という枠を一歩抜け出しているのかもしれない。

 真央は封筒を丁寧に畳み、引き出しにしまった。

その動作一つひとつが、未来への準備のように思えた。

窓の外では、冷たい風が少しずつ冬の匂いを運んできていた。


#内定者の手紙
#社会人の実感
#未来への準備 

2025年11月2日日曜日

就活物語「“わからない”を恐れない子」

就活物語
「“わからない”を恐れない子」
――正直さと学ぶ姿勢が信頼をつくる――


 面接の場で、わからない質問をされたとき、学生の反応は実にさまざまだ。

黙り込んでしまう子、何とか答えをひねり出そうとする子、焦って話が逸れていく子。

だが、印象に残るのは「わからないです」と、素直に言える学生だ。

 ある学生のことを、今でもよく覚えている。

技術職の面接だったが、専門的な質問に対して彼は一呼吸おいてから言った。

「申し訳ありません。今の時点では十分に理解できていません。ただ、もし入社できたら、こういう方法で調べて学びたいです。」

 その姿勢に、面接室の空気が少し変わった。

“わからない”という言葉に逃げではなく、次への意欲が込められていたからだ。

 面接後、技術部門の担当者が笑顔で言った。

「彼、いいですね。完璧じゃないけど、伸びそうです。」

 社会に出れば、誰だって初めてのことばかりだ。

そのときに必要なのは、知識の多さではなく、学ぶ力と正直さだと、彼が教えてくれた気がした。

 ――「わからない」と言える勇気。

それは、成長のスタートラインに立つ力なのだ。


#面接官の視点
#素直さの力
#学ぶ姿勢

2025年11月1日土曜日

就活物語「質問の質でわかる本気度」

就活物語
「質問の質でわかる本気度」
――準備された言葉ではなく、現場を見ようとする目――


 面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞くと、多くの学生が口にするのは決まり文句のような質問だ。

「御社の求める人材像を教えてください」「入社後のキャリアステップについて伺いたいです」――。

どれも悪くはない。だが、心に残る質問は、いつも“その学生にしかできない質問”だ。

 ある学生がいた。彼は事前に企業の取り組みを徹底的に調べてきていた。

「御社の新規プロジェクトで地方自治体と連携されていますが、現場で課題に感じる点はどんなところですか?」

質問の一言目から、空気が変わった。

 こちらの答えをメモしながら、彼はさらに聞く。

「その課題に対して、自分だったらこういう形で支援できるかもしれません」

質問というより、対話だった。

 私はその瞬間、彼がただ“受ける側”ではなく、働く側の視点で考えていることに気づいた。

質問の“質”には、準備と理解、そして覚悟が現れる。

 面接を終えて、同席していた社員が言った。

「彼、もう一緒に働いてるみたいでしたね。」

 ――そう、質問は、その人の“本気度”を映す鏡なのだ。

私は次の面接でも、最後のその一言に耳を澄ませている。


#面接官の視点
#質問力
#本気の学生 

現場の学び「学生の質問が仕事を止めるとき」

 忙しい現場で、学生に声をかけられた。 「この作業、どうしてこの順番なんですか?」  一瞬、手が止まる。 考えたこともなかった問いだった。  説明しながら、自分の中の“当たり前”を見直す。 無駄な工程や、改善できそうな点にも気づいた。  学生の質問は、現場を止める。 でもそれは、...