2025年11月7日金曜日

「“できたね”の笑顔が、チームのはじまり」


 内定者研修の二日目。

グループワークのテーマは「新入社員としての理想の働き方」。

 真央たちは四人チームで、模造紙に意見を書き出していた。

最初はぎこちなかった会話も、少しずつ笑いが増えていく。

「その言い方いいね」「それ、まとめよう!」――

アイデアが重なり、紙の上に一つの形が見えてきた。

 プレゼン本番。緊張で手が少し震える。

でも、隣で亮太が小さく頷いた。

その合図で、不思議と安心できた。

 発表が終わると、拍手が起きた。

「やったね!」

声をかけ合い、自然と笑顔になる。

 真央はその瞬間、思った。

“社会人って、一人で頑張ることじゃないんだ。”

誰かと力を合わせて、何かを作り上げること。

それが、これから歩く道の最初の一歩になる気がした。


#内定者研修
#チームワーク
#社会人の学び 

2025年11月6日木曜日

「名札の重みが、少しだけ変わった日」


 研修会場のドアを開けると、明るい声が響いた。

「おはようございます!」

内定者研修の初日。真央は胸に社員証をかけながら、少し緊張した面持ちで席に着いた。

 講師の話を聞きながら、周りの同期たちの表情を見る。

みんな真剣な眼差しで、メモを取っている。

数か月前まで同じように学生だった人たちが、どこか“社会人”の顔をしていた。

 ふと手元の名札を見つめる。

そこには、自分の名前の横に「〇〇株式会社」のロゴ。

文字の小さな輝きに、責任と期待の重みを感じた。

 グループワークでは、意見を交わしながら笑い合う瞬間もあった。

「社会人になるって、こういうことなのかもしれない」

真央はふとそう思いながら、資料をめくった。

 帰り道、窓に映る自分の顔が少し大人びて見えた。

名札のストラップを指でなぞる。

それは、学生から社会人へと続く小さな架け橋だった。


#内定者研修
#社会人の第一歩
#学生から社会人へ 

2025年11月5日水曜日

「画面の向こうの“同期”が、目の前にいた」


 春の風が少し冷たさを残している朝。

真央は、内定者懇親会の会場に向かって歩いていた。

手にはスマホ。グループチャットには「今、着きました!」の文字が並んでいる。

 エレベーターの扉が開くと、同じように少し緊張した顔の学生たちが立っていた。

「…あ、〇〇大学の真央さん?」

声をかけてくれたのは、チャットでよく話していた亮太くんだった。

 画面の中では何度もやり取りしたのに、実際に会うと不思議な気持ちになる。

「ほんとにいるんだな」――そんな言葉が、頭をよぎった。

 自己紹介や雑談が始まり、少しずつ笑顔が増えていく。

「同期って、こんな感じなんだ」

真央の胸の奥に、少しずつ“仲間”という感覚が広がっていった。

 帰り道、春の風が頬をなでた。

今日、少しだけ“社会人になる”ということが近づいた気がした。


#同期との出会い
#内定者懇親会
#社会人のはじまり 

2025年11月4日火曜日

「“よろしく”の文字に、未来の輪が広がった」


 ある夜、スマホの画面に新しい通知が届いた。

「〇〇株式会社 内定者グループ」――招待リンクの文字が光っていた。

 少し迷ったあと、真央は“参加する”をタップした。

画面にはすでに何人かの名前と、「よろしくお願いします!」のメッセージが並んでいる。

 見知らぬ人たち。でも、同じ会社で、同じ春を迎える仲間。

短い挨拶の言葉一つひとつが、なぜかあたたかく感じられた。

 真央も勇気を出して、入力欄に指を置く。

「〇〇大学の真央です。よろしくお願いします!」

 送信ボタンを押す瞬間、少しだけ心臓が高鳴った。

すぐに「よろしく!」「同じ部署かも!」と返信が返ってくる。

そのテンポの早さに、思わず笑みがこぼれた。

 ひとりで頑張ってきた就職活動。

でも、これからは“仲間”と一緒に進む。

画面の中の会話が、未来への希望を照らしていた。


#内定者グループ
#同期とのつながり
#社会人の準備 

2025年11月3日月曜日

「封筒の中にあった、未来への招待状」


 郵便受けに分厚い封筒が届いていた。

差出人の欄には「〇〇株式会社 人事部」の文字。

真央は少し息を呑んで、ゆっくりと封を開けた。

 中には入社までのスケジュール、研修案内、提出書類――。

白い紙の束が、まるで“社会人としての地図”のように感じられた。

 「この会社で働くんだ」

頭ではわかっていたけれど、目の前の現実はどこか新鮮で、そして少し怖い。

 ページの端に、採用担当者からの手書きのメッセージがあった。

「春にお会いできるのを楽しみにしています。」

 その一文を見て、胸がじんと温かくなる。

自分は、もう“学生”という枠を一歩抜け出しているのかもしれない。

 真央は封筒を丁寧に畳み、引き出しにしまった。

その動作一つひとつが、未来への準備のように思えた。

窓の外では、冷たい風が少しずつ冬の匂いを運んできていた。


#内定者の手紙
#社会人の実感
#未来への準備 

2025年11月2日日曜日

就活物語「“わからない”を恐れない子」

就活物語
「“わからない”を恐れない子」
――正直さと学ぶ姿勢が信頼をつくる――


 面接の場で、わからない質問をされたとき、学生の反応は実にさまざまだ。

黙り込んでしまう子、何とか答えをひねり出そうとする子、焦って話が逸れていく子。

だが、印象に残るのは「わからないです」と、素直に言える学生だ。

 ある学生のことを、今でもよく覚えている。

技術職の面接だったが、専門的な質問に対して彼は一呼吸おいてから言った。

「申し訳ありません。今の時点では十分に理解できていません。ただ、もし入社できたら、こういう方法で調べて学びたいです。」

 その姿勢に、面接室の空気が少し変わった。

“わからない”という言葉に逃げではなく、次への意欲が込められていたからだ。

 面接後、技術部門の担当者が笑顔で言った。

「彼、いいですね。完璧じゃないけど、伸びそうです。」

 社会に出れば、誰だって初めてのことばかりだ。

そのときに必要なのは、知識の多さではなく、学ぶ力と正直さだと、彼が教えてくれた気がした。

 ――「わからない」と言える勇気。

それは、成長のスタートラインに立つ力なのだ。


#面接官の視点
#素直さの力
#学ぶ姿勢

2025年11月1日土曜日

就活物語「質問の質でわかる本気度」

就活物語
「質問の質でわかる本気度」
――準備された言葉ではなく、現場を見ようとする目――


 面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞くと、多くの学生が口にするのは決まり文句のような質問だ。

「御社の求める人材像を教えてください」「入社後のキャリアステップについて伺いたいです」――。

どれも悪くはない。だが、心に残る質問は、いつも“その学生にしかできない質問”だ。

 ある学生がいた。彼は事前に企業の取り組みを徹底的に調べてきていた。

「御社の新規プロジェクトで地方自治体と連携されていますが、現場で課題に感じる点はどんなところですか?」

質問の一言目から、空気が変わった。

 こちらの答えをメモしながら、彼はさらに聞く。

「その課題に対して、自分だったらこういう形で支援できるかもしれません」

質問というより、対話だった。

 私はその瞬間、彼がただ“受ける側”ではなく、働く側の視点で考えていることに気づいた。

質問の“質”には、準備と理解、そして覚悟が現れる。

 面接を終えて、同席していた社員が言った。

「彼、もう一緒に働いてるみたいでしたね。」

 ――そう、質問は、その人の“本気度”を映す鏡なのだ。

私は次の面接でも、最後のその一言に耳を澄ませている。


#面接官の視点
#質問力
#本気の学生 

「“できたね”の笑顔が、チームのはじまり」

 内定者研修の二日目。 グループワークのテーマは「新入社員としての理想の働き方」。  真央たちは四人チームで、模造紙に意見を書き出していた。 最初はぎこちなかった会話も、少しずつ笑いが増えていく。 「その言い方いいね」「それ、まとめよう!」―― アイデアが重なり、紙の上に一つの形...