郵便受けに分厚い封筒が届いていた。
差出人の欄には「〇〇株式会社 人事部」の文字。
真央は少し息を呑んで、ゆっくりと封を開けた。
中には入社までのスケジュール、研修案内、提出書類――。
白い紙の束が、まるで“社会人としての地図”のように感じられた。
「この会社で働くんだ」
頭ではわかっていたけれど、目の前の現実はどこか新鮮で、そして少し怖い。
ページの端に、採用担当者からの手書きのメッセージがあった。
「春にお会いできるのを楽しみにしています。」
その一文を見て、胸がじんと温かくなる。
自分は、もう“学生”という枠を一歩抜け出しているのかもしれない。
真央は封筒を丁寧に畳み、引き出しにしまった。
その動作一つひとつが、未来への準備のように思えた。
窓の外では、冷たい風が少しずつ冬の匂いを運んできていた。
#内定者の手紙
#社会人の実感
#未来への準備

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