【第7話】証明写真、なぜか横を向いていた
証明写真を印刷してみると、なぜか涼の顔はほんの少しだけ右を向いていた。正面を見ていたはずなのに、ほんのわずかに、視線が逸れている。
「これじゃ、なんか落ち着かないな……」
でも、撮り直すには時間もお金もかかる。提出期限は明日。少し迷ったが、その写真を履歴書に貼ることにした。
書類を仕上げていくうちに、ふと思った。
少し不格好でも、間に合わせでも、自分の力でここまで準備したこと自体が、自信になるんじゃないかと。
完璧じゃなくても、出し切ればいい。そう思って封筒を閉じたとき、涼の心の中には、不思議とまっすぐな気持ちがあった。
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