【第6話】メールの「誤送信」で知ったこと
「お世話になっております」と打ったはずのメールの冒頭が、「お世話に〜」で送信されていた。
しかも、添付するはずの履歴書も忘れていた。
「うわあああ……」
沙也加は頭を抱え、何度も送信メールを見返した。たった1クリックで、こんなに落ち込むなんて。
でも翌日、その企業から返信が来た。
「履歴書が添付されていないようでしたので、ご確認ください」
文面は丁寧で、どこにも責める言葉はなかった。
完璧じゃなくても、向き合い方で伝わるものがあるんだ――そう思った。ミスを認めて、丁寧にお詫びと再送のメールを打つ手は、昨日よりほんの少しだけ、自信に満ちていた。
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