2025年6月3日火曜日

履歴書・エントリーシートの作成)【第4話】“長所”が思いつかない

【第4話】“長所”が思いつかない


 「あなたの長所を教えてください」

 エントリーシートの問いに、慧(けい)は鉛筆を握ったまま止まっていた。

 明るいわけでも、リーダータイプでもない。真面目とか責任感があるとか、そんな“テンプレート”な言葉を並べても、嘘になる気がした。

 ふと視線を上げると、机の隅にある古びた工具箱が目に入った。中身は、祖父の残した道具。壊れた家電を直すのが好きだった慧は、よく一人で分解しては組み立てていた。

 「あきらめずに、最後までやるってことか……」

 誰かに見せるためではなく、自分の中にずっとあったもの。

 それが“長所”でなくて、何だろう。

 慧は鉛筆を持ち直し、少しだけ誇らしげな顔で、ゆっくりと書き始めた。

0 件のコメント:

コメントを投稿

就活物語 親との関係|親の「まだ決まらないの?」が刺さった夜

 就活が長引くほど、家族との会話がつらくなることがあります。心配してくれていると分かっていても、その一言に傷ついてしまう夜があります。 悪気がないと分かっているけれど  夕食の時間だった。 遥香は食卓で黙ったまま箸を動かしていた。 その時、母親が何気なく聞いた。 「就活、どう?」...