2026年2月14日土曜日

就活物語「最後の電話で、縁がすれ違った学生」

――あと一日、早ければ――


 その学生は、一次面接から評価が安定して高かった。

明るさと論理性のバランスがよく、チームにもすぐ溶け込めるだろうという安心感があった。

 最終面接後の評価会議では、ほぼ満場一致。

「ぜひ迎えたい」という空気が、会議室を包んでいた。

 だが、問題は一つだけあった。

彼は、他社の最終選考も同時に進んでいた。

 「できるだけ早く連絡を」

そう確認していたが、社内の決裁にわずかな時間がかかった。

 翌日、電話をかけると、彼は丁寧にこう告げた。

「御社も最後まで迷いました。

ですが、本日、別の会社にお返事をしました。」

 声に迷いはなかった。

きっと熟考の末の決断だったのだろう。

 受話器を置いたあと、しばらく動けなかった。

評価が足りなかったわけではない。

枠がなかったわけでもない。

 ただ、“決断の速さ”という一点で、わずかに他社に先を越された。

 採用とは、選ぶ側だけの意思では完結しない。

選ばれる側にも、人生の時間軸がある。

 彼は、間違いなく惜しかった。

そして私たちは、あと一日の差を、静かに悔やんだ。


#面接官の視点
#惜しかった学生
#他社との競合 

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――あと一日、早ければ――  その学生は、一次面接から評価が安定して高かった。 明るさと論理性のバランスがよく、チームにもすぐ溶け込めるだろうという安心感があった。  最終面接後の評価会議では、ほぼ満場一致。 「ぜひ迎えたい」という空気が、会議室を包んでいた。  だが、問題は一つ...