2026年2月15日日曜日

就活物語「後から知った、あの学生の現在」

――見送った側の、静かな後悔――


 その学生を不採用にしたのは、二年前だった。

面接での評価は悪くない。

だが、最終的には別の学生を選んだ。

 理由は、経験の差。

彼は少しだけ実務経験が浅く、即戦力としては、もう一歩という判断だった。

 正直に言えば、「惜しい」という感触は残っていた。

それでも、あのときの選択に迷いはなかったはずだ。

 ある日、業界紙の記事で彼の名前を見つけた。

新規プロジェクトの中心メンバーとして紹介されていた。

写真には、落ち着いた表情で語る姿があった。

 胸の奥が、静かにざわついた。

あのとき、迎えていたらどうなっていただろう。

育てながら共に挑戦できたかもしれない。

 だが同時に思う。

彼は、今の環境でこそ伸びたのかもしれない。

選ばれなかったことが、別の道を開いたのだとしたら――

それは、間違いではなかったのだろう。

 採用は、未来を完全には見通せない。

見送った人材が活躍することもある。

 彼は、確かに惜しかった。

そして今も、私はときどき、あの面接室の空気を思い出す。


#面接官の視点
#惜しかった学生
#後から知った活躍

0 件のコメント:

コメントを投稿

就活物語「後から知った、あの学生の現在」

――見送った側の、静かな後悔――  その学生を不採用にしたのは、二年前だった。 面接での評価は悪くない。 だが、最終的には別の学生を選んだ。  理由は、経験の差。 彼は少しだけ実務経験が浅く、即戦力としては、もう一歩という判断だった。  正直に言えば、「惜しい」という感触は残って...