――見送った側の、静かな後悔――
その学生を不採用にしたのは、二年前だった。
面接での評価は悪くない。
だが、最終的には別の学生を選んだ。
理由は、経験の差。
彼は少しだけ実務経験が浅く、即戦力としては、もう一歩という判断だった。
正直に言えば、「惜しい」という感触は残っていた。
それでも、あのときの選択に迷いはなかったはずだ。
ある日、業界紙の記事で彼の名前を見つけた。
新規プロジェクトの中心メンバーとして紹介されていた。
写真には、落ち着いた表情で語る姿があった。
胸の奥が、静かにざわついた。
あのとき、迎えていたらどうなっていただろう。
育てながら共に挑戦できたかもしれない。
だが同時に思う。
彼は、今の環境でこそ伸びたのかもしれない。
選ばれなかったことが、別の道を開いたのだとしたら――
それは、間違いではなかったのだろう。
採用は、未来を完全には見通せない。
見送った人材が活躍することもある。
彼は、確かに惜しかった。
そして今も、私はときどき、あの面接室の空気を思い出す。
#面接官の視点
#惜しかった学生
#後から知った活躍

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