2026年1月11日日曜日

就活物語「素直さはあるが、踏み込みが足りなかった学生」

――評価が揺れた、その理由――


 その学生は、最初から好印象だった。

受け答えは丁寧で、分からないことは正直に「分かりません」と言える。

無理に背伸びせず、等身大で向き合おうとする姿勢に、誠実さを感じた。

 評価シートには「素直」「吸収力がありそう」「指導しやすい」という言葉が並ぶ。

一方で、面接が進むにつれて、別の意見も出始めた。

「受け身に見える」

「自分から踏み出す場面が想像しにくい」

 彼は質問に対して、きちんと考え、真面目に答えていた。

ただ、その答えは常に“相手の期待を外さない”ところに収まっていた。

自分の考えを一歩踏み込んで語る場面が、最後まで少なかった。

 議論になったのは、「素直さが、この先どう変わるか」だった。

教えられれば伸びるタイプなのか。

それとも、指示を待ち続けてしまうのか。

その分かれ目が、面接の中では見えなかった。

 最終的に比較された学生は、拙くても自分の意見をぶつけてきた。

正解かどうかより、「自分で考えて動こうとする姿勢」が、わずかに評価を上回った。

 結果は不採用。

だが、「現場によっては、ぜひ迎えたい人材だ」という声も多かった。

 素直さは、確かな強みだ。

ただ、それが“自分の意思”と結びついたとき、評価は大きく変わる。

私たちは、その一歩を見極めきれず、迷っていた。


#面接官の視点
#素直さの評価
#踏み込み不足 

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