2025年11月30日日曜日

就活物語「本音で話した学生」

――面接用の言葉ではなく、自分の言葉で話した真実味――


 面接をしていると、耳に馴染んだ言葉がよく飛び交う。

「御社の理念に共感しました」「チームワークが得意です」――

もちろん悪いわけではないが、どうしても“面接用”の響きが残る。

 その日の学生も、最初は同じような自己紹介だった。

だが、ある質問をきっかけに空気が変わった。

 「就職活動をしていて、正直しんどかったことはありますか?」

 この問いに、彼は一瞬だけ迷った表情を見せ、

そのあと、深く息を吸って話し始めた。

 「正直に言うと……“自分には何もないんじゃないか”と思ったことがありました。

周りの友達が次々と内定をもらって、焦って、比べて、落ち込んで。

でも、そんなときに指導教員が“できない自分も含めて受け入れろ”と言ってくれて……

そこから少しずつ、“見せたい自分”じゃなくて“等身大の自分”で話せるようになりました。」

 その言葉は飾らず、まわりくどくもなく、

まっすぐ胸に届いた。

 面接官としてではなく、一人の大人として、

「ああ、この子は強いな」と思った。

 うまく話そうという意図が消えたとき、

人の言葉は驚くほど力を持つ。

本音は、不器用でも、聞く人の心に深く残る。

 面接後、同席していた部長が静かに言った。

「素直に弱さを見せられるのは、誠実さの証拠だね。」

 ――面接とは、飾る場ではなく、自分を“開く”場でもある。

そのことを、この学生があらためて思い出させてくれた。


#面接官の視点
#本音で語る
#誠実さ 

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