――将来を見据えた話し方に可能性を感じた――
面接が始まってしばらく、彼の話し方には静かな落ち着きがあった。
自己紹介も経歴も簡潔で、特別派手なエピソードはない。
「少し控えめなタイプかな」――最初はそう感じていた。
だが、印象が変わったのは、こちらが将来について尋ねた時だった。
「あなたは、これからどんな社会人になりたいですか?」
彼は迷いなく答えた。
「自分は、まだ特別な強みがあると思っていません。
でも、これから5年の間に、“人に任せてもらえる人”になりたいです。」
その言葉の選び方が良かった。
“できるようになりたい”ではなく、
“任せてもらえる人になりたい”――その視点には、確かな未来があった。
さらに彼は続けた。
「大学でも、役割を与えられると力を発揮できることに気づきました。
だから就職後は、まず任される仕事を一つずつ確実に仕上げたい。
その積み重ねの先で、後輩を支えられる立場になりたいです。」
語ったのは、過去の成功ではなく、これからの成長計画。
しかも、曖昧な夢ではなく、現実的で、組織の中での役割を意識した視点だった。
面接後、同席していた部長が言った。
「伸びる学生って、未来の描き方が違うよね。」
過去を飾ることに力を使う学生は多い。
だが、“これからどう変わりたいか”をまっすぐ語れる学生には、たしかな可能性がある。
未来を自分の言葉で語れる人は、組織の中で確実に成長していく――そう感じさせる面接だった。
#面接官の視点
#将来性
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