――自己分析が深く、成長への意志が明確――
面接の中で、「あなたの弱みを教えてください」という質問ほど、学生を悩ませるものはないだろう。
多くの学生は、強みに言い換えようとする。「完璧主義なところです」「責任感が強すぎて…」――そんな答えを何度も聞いてきた。
だが、その日の学生は違った。
少し間を置いてから、落ち着いた声で言った。
「自分は、人に頼ることが苦手です。全部自分で抱え込んで、結局遅れてしまうことがありました。」
正直な言葉だった。
私は思わず姿勢を正した。
彼は続けた。
「でも、ゼミでの共同研究を通して、“頼ることは甘えじゃない”と気づきました。
自分が助けられたときに、相手も嬉しそうにしてくれて…。
それ以来、役割を共有して、チーム全体で成果を出すことを意識しています。」
その語り口には、自己否定ではなく、“成長の実感”があった。
弱みを隠さず、学びに変える力――それはどんなスキルよりも価値がある。
面接後、上司がぽつりと言った。
「素直さって、やっぱり強いな。」
弱みを語る勇気は、自分を見つめる誠実さの証だ。
そしてそれを言葉にできる人こそ、組織の中で確かに成長していくのだと思う。
#面接官の視点
#自己分析
#成長意欲

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