――面接後の一言が印象を変えたエピソード――
最終面接の終盤、すべての質問を終えて「では、これで面接を終了します」と告げたときだった。
その学生は、立ち上がる直前に一度深呼吸し、少し照れくさそうに言った。
「本日は、面接というより“学びの時間”をいただいた気がします。ありがとうございました。」
ありふれた言葉――けれど、その一言には、作られた感じがまるでなかった。
誠実な声のトーン、目線、姿勢。どれもが自然で、心からの感謝だと伝わってきた。
その瞬間、面接室の空気がふっと柔らかくなった。
彼の受け答えは決して完璧ではなかった。
緊張から言葉に詰まる場面もあったし、論理が少し飛んだ回答もあった。
それでも、“ありがとう”の一言が、それらを帳消しにしてしまうほどの温かさを持っていた。
形式ばった面接が終わったあとも、上司がぽつりとつぶやいた。
「やっぱり、最後に人柄が出るね。」
面接というのは、評価をつける場のようでいて、実は“印象を通じて人間を見る場”でもある。
どんなに準備を重ねても、最後の一言に本音が宿る。
そして、“ありがとう”は、最もシンプルで、最も心を動かす言葉なのだ。
――感謝の一言が、印象を変えることがある。
それは、社会に出てからも通じる大切な力だと、あらためて感じた。
#面接官の視点
#感謝の言葉
#人柄が伝わる瞬間

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