――自社への理解・資料分析力が群を抜いていた学生――
インターン選考前の個別面談。
私はいつものように学生の志望動機を聞きながら、軽い雑談を交えようとしていた。
だが、目の前の男子学生は、少し違っていた。
「御社の新規事業についてお伺いしたいのですが――」
そう切り出すと、彼は手元のノートを開いた。
そこには、会社の公式サイトや業界誌の記事、さらにはIR資料をもとにした手書きのメモがびっしりと書かれていた。
「この2年間の投資推移を拝見して、重点領域が“デジタル化”と“地域連携”に移っていると感じました。
もし私が参画できたら、地域マーケティングのデータ整備に貢献できると思います。」
話しながら、彼はノートを閉じ、こちらの目をまっすぐ見た。
表面上の情報を並べるのではなく、自分なりに“考え抜いた軸”があった。
言葉の一つひとつに説得力があり、熱意が数字に裏づけされていた。
面談が終わったあと、私は同席していた同僚に言った。
「彼、学生の立場でここまで読み解くとは思わなかったな。」
資料を“調べる”で止めず、“理解し、自分の考えに変換する”――その姿勢に感服した。
準備とは、相手を尊重する行為そのものだ。
彼のノートには、単なる知識ではなく、“誠意”が刻まれていた。
#面接官の視点
#企業研究
#誠実な準備

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