2025年10月8日水曜日

「内定報告をした日」― 友の笑顔と、自分の涙

「内定報告をした日」
― 友の笑顔と、自分の涙


 大学4年の6月。梅雨の空が広がる午後、彩は友人の由希とカフェで向かい合っていた。

由希が先に言った。「実は、第一志望から内定をもらったんだ」

その言葉に、彩は一瞬、息をのんだ。けれど、すぐに笑顔をつくり「おめでとう!」と声を弾ませた。

 心から喜んでいた。けれど、同時に胸の奥で小さな痛みが走る。

自分はまだ、最終面接の結果待ち。焦りも不安も、隠して笑う。

そんな自分が少し情けなかった。

 カフェを出たあと、空から小雨が落ちてきた。

傘を差しながら、彩はスマホを取り出し、母にLINEを送る。

「今日も頑張ったよ」

たった一行を打つのに、涙がにじんだ。

 数日後、メールの受信音が鳴る。

そこには、「内定のお知らせ」の文字。

あの日の友の笑顔が、彩の心を支えていたのだと気づいた。


#内定者のリアル
#友との支え
#涙の瞬間 

0 件のコメント:

コメントを投稿

就活リアル「働く場所を見て、未来が少し現実になった日」

 内定先から「内定者懇談会」の案内が届いた。 集合場所は、本社ビルのエントランス。 スーツ姿で向かう途中、心臓が少しだけ速く打っていた。  自動ドアが開いた瞬間、冷たい空気とともに、静かな緊張感が流れ込んでくる。 受付の奥には社員らしき人たちがテキパキと行き交っていた。 “ここで...