【第24話】「誤字」に気づいた瞬間
「よし、これで完成……」
エントリーシートを印刷して、明里は深呼吸をした。
でも、ホチキスでとめる前にもう一度だけ、と読み返したとき。
――目に飛び込んできたのは、「志望動機」の中にあった一文字の誤字だった。
“経験”が“軽減”になっている。
その瞬間、頬がじんわり熱くなる。何度も確認したのに、見逃していた。
このまま出してしまえば、きっと印象が悪くなる。
印刷した紙を見つめて、ため息をひとつ。そして、彼女はまたパソコンの前に座り直した。
「悔しいけど、これも経験だよね」
自分にそう言い聞かせながら、新しい一枚に向き合う。
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