【第23話】「資格」の欄が空白のままで
履歴書の「資格・免許」欄に、何も書くことがなかった。
普通自動車免許すら持っていない。空欄のまま提出するのが、なんだか怖く感じた。
「やっぱり、何か持ってた方がいいんじゃないか」
周囲がTOEICや簿記などを書いているのを見て、焦りだけが募る。
でも、そのときふと気づいた。
アルバイトやゼミ活動で、自分がどんな力を磨いてきたか。資格じゃなくても、身についてきたことがあるんじゃないかと。
「資格は空欄でも、経験は空白じゃない」
そう思えたとき、直也は少しだけ前を向けた。
書けないことばかりに目を向けるのではなく、書けることに目を向けよう。
空欄も、自分のこれからを映す“余白”かもしれない。
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