【第17話】「志望動機」が企業ごとに変わらない
志望動機を書き始めるたびに、慧は自分の言葉がコピー&ペーストのように感じていた。
「御社の理念に共感し……」「自分の経験を活かして……」
どこかで見たような文が並ぶたび、ページを閉じたくなる。
いくつもの企業に応募するうちに、気づかぬうちに“無難な文”ばかりを集めてしまっていた。でも、本当にそれでいいのか――。
ある日、企業のHPを見ていたとき、ふと社員インタビューの記事に目が止まった。そこに書かれていた言葉が、自分が大事にしていた価値観と重なった瞬間、慧の手が動き出した。
「これは、あの会社だから書ける言葉だ」
そう思えたとき、初めて“志望”という言葉が、自分の中で生きた。
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