――評価が止まった、その理由――
その学生の話し方は、とても上手だった。
志望動機も、自己PRも、企業研究も申し分ない。
こちらの質問に対しても、言葉に詰まることなく、論点を外さずに答えてくる。
「よく準備している」「受け答えは完成度が高い」
評価シートには、そんなコメントが並んだ。
しかし、面接が進むにつれて、ある違和感が残り始めた。
彼の言葉はどれも正しい。
だが、「それを実際にどう行動に移したのか」を尋ねると、話が少し抽象的になる。
経験談はあるものの、具体的な工夫や失敗の跡が見えにくかった。
議論の中で出たのは、こんな声だった。
「考え方は立派だけど、まだ“自分の手で動かした経験”が少ない気がする」
「現場に出たとき、最初の一歩を踏み出せるかどうかが読めない」
最終的に比較されたのは、別の学生だった。
言葉は拙く、説明も整理されていなかったが、
自分で考えて動き、失敗し、立て直した話を必死に語っていた。
その“生々しさ”が、わずかに評価を上回った。
結果は不採用。
だが、彼の言葉が軽かったわけではない。
むしろ、あと一歩、行動の裏づけがあれば、結果は変わっていたかもしれない。
面接では、語れることと、やってきたことの距離が問われる。
その距離の差に、私たちは最後まで迷っていた。
#面接官の視点
#評価が止まった理由
#行動の裏づけ

0 件のコメント:
コメントを投稿