2026年1月3日土曜日

就活物語「言葉は立派、行動がまだ見えなかった学生」

――評価が止まった、その理由――


 その学生の話し方は、とても上手だった。

志望動機も、自己PRも、企業研究も申し分ない。

こちらの質問に対しても、言葉に詰まることなく、論点を外さずに答えてくる。

「よく準備している」「受け答えは完成度が高い」

評価シートには、そんなコメントが並んだ。

 しかし、面接が進むにつれて、ある違和感が残り始めた。

彼の言葉はどれも正しい。

だが、「それを実際にどう行動に移したのか」を尋ねると、話が少し抽象的になる。

経験談はあるものの、具体的な工夫や失敗の跡が見えにくかった。

 議論の中で出たのは、こんな声だった。

「考え方は立派だけど、まだ“自分の手で動かした経験”が少ない気がする」

「現場に出たとき、最初の一歩を踏み出せるかどうかが読めない」

 最終的に比較されたのは、別の学生だった。

言葉は拙く、説明も整理されていなかったが、

自分で考えて動き、失敗し、立て直した話を必死に語っていた。

その“生々しさ”が、わずかに評価を上回った。

 結果は不採用。

だが、彼の言葉が軽かったわけではない。

むしろ、あと一歩、行動の裏づけがあれば、結果は変わっていたかもしれない。

 面接では、語れることと、やってきたことの距離が問われる。

その距離の差に、私たちは最後まで迷っていた。


#面接官の視点
#評価が止まった理由
#行動の裏づけ 

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