就活物語
「他人の功績を語る学生」
――チームメンバーを称える謙虚さと人間力――
面接で「学生時代に力を入れたこと」を尋ねると、彼は少し考えてからこう言った。「自分の話というより、チームの話になってもいいですか?」
その言葉に、私は少し驚いた。多くの学生が“自分の成果”を中心に語る中、彼は仲間の名前から話し始めたのだ。
「学園祭の企画チームでリーダーを務めたのですが、実は、僕よりもチームを引っ張ってくれたのは副リーダーの彼でした。意見の衝突もありましたが、最終的には彼の冷静な判断が成功につながったんです。」
語るうちに、彼の表情はどんどん明るくなっていった。「僕は、みんなが動きやすいようにサポートしていたつもりですが、正直、あのメンバーがいなければ成し遂げられませんでした。」
私はその姿に、リーダーの本質を見た。リーダーとは、自分の功績を誇る人ではなく、仲間の力を認め、引き出せる人。そして、誰かの努力を言葉にして伝えられる人こそ、信頼される存在だ。
面接が終わったあと、メモ欄に自然とこう書いていた。――「この学生は、人を見られる人。」
企業が本当に求めているのは、成果の裏側で支える力を持つ人間なのかもしれない。彼のような学生が組織に入ったら、きっとチームの空気が優しく変わっていくだろう。
#面接官の視点
#チームワーク
#謙虚さと人間力

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