就活物語
「失敗を笑って話せた勇気」
面接の終盤、「これまでの失敗経験を教えてください」と尋ねると、少しの間をおいてから、彼は笑顔で話し始めた。
「正直に言うと、大学祭の企画で大失敗しました。」その表情は、後悔よりもどこか晴れやかだった。
彼は実行委員としてイベントを任されていたが、当日の段取りミスで機材の準備が間に合わず、開始が30分も遅れたという。「その時は本当に焦りました。でも、スタッフ全員でどうすればリカバリーできるか考えて、来場者に向けて“準備中ライブ配信”をしたんです。結果的に、逆に盛り上がって。」
彼の語り口は明るく、失敗を恐れるより、そこから何を学んだかが中心だった。「それ以来、“完璧にやろう”じゃなくて、“想定外にどう対応するか”を意識しています。」
その言葉に、私は思わずうなずいた。多くの学生が、失敗を隠そうとする中で、彼は笑って語った。その裏には、失敗を“恥”ではなく、“経験”に変えた強さがある。
社会に出れば、誰にでもミスはある。大切なのは、その後どう動くか、どう考えるか。
彼の笑顔には、失敗を経て得た柔軟さと成長の跡が確かにあった。――ああ、この学生は、困難を前にしても前を向ける人だ。そう思った面接だった。
#面接官の視点
#失敗から学ぶ
#成長できる学生

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