【第42話】議論を止めた沈黙
グループ内での話し合いが白熱していた。誰もが自分の意見を押し通そうとして、声が重なり合う。
そんな中、空気がピタリと止まった。
普段あまり発言しない南が、唐突に手を挙げたのだ。
「ちょっと、いいですか」と、静かに言葉を選びながら話し始める南。
「どの案が正しいとかじゃなくて、今、誰かの意見を否定するような空気になっていませんか?」
その一言に、一同は黙り込む。誰もが、自分が少し熱くなっていたことに気づいたのだ。
沈黙のあと、「ごめん」と誰かが口にした。空気がやわらぎ、南の一言が議論を進めるための“場”を整えてくれた。
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