2025年7月28日月曜日

就活におけるグループワーク)【第41話】置いてけぼりの声が聞こえた

【第41話】置いてけぼりの声が聞こえた


 グループワークも終盤、発表内容の整理が進む中、椎名はふと、静かに俯く佳奈の様子に気づいた。

「何か意見ある?」と声をかけると、佳奈は小さく首を振った。けれど、目は何かを言いたそうに揺れていた。

「実は…」と、ようやく言葉をこぼした佳奈は、最初のアイデア段階で提案した自分の意見が、そのまま誰かの案として採用されていることに、少しだけ引っかかっていたのだった。

 「言ってくれてよかった」と椎名は返す。話し合いの場に戻ったとき、彼は皆に向かって「最初のアイデアの出どころ、覚えてる?」と問いかけた。

その一言で空気が変わり、佳奈の目にほんの少し光が戻った。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

現場の学び「学生の質問が仕事を止めるとき」

 忙しい現場で、学生に声をかけられた。 「この作業、どうしてこの順番なんですか?」  一瞬、手が止まる。 考えたこともなかった問いだった。  説明しながら、自分の中の“当たり前”を見直す。 無駄な工程や、改善できそうな点にも気づいた。  学生の質問は、現場を止める。 でもそれは、...