【第4話】目立たない貢献
「発表、誰がやる?」
議論が終わった直後、グループの空気が一瞬だけよどんだ。全員が視線をそらすなかで、和真は静かに言った。
「じゃあ、僕がやるよ」
その場では軽く受け流されたが、実は彼が、タイムキープも板書も、資料整理も黙々とやってくれていたことに、気づいていた人は少なかった。
派手な意見は言わなかった。でも、誰よりも全体を見て、流れを支えてくれていた。
発表も、決して流暢ではないけれど、内容がきちんと整理されていて聞きやすかった。終わったあと、企業の担当者が「このチーム、連携がよかったですね」と褒めてくれた。
誰かが輝くためには、誰かの見えない支えがある。グループワークは、そういう場でもある。
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