【第33話】「賛成です!」だけじゃ、もったいない
「その意見、賛成です!」
沙也加が明るく言った瞬間、チーム全体が少し和んだ。
誰かの意見に同調することは、雰囲気をよくする魔法の言葉だ。
けれど──そのあとが続かない。
「賛成だけど、どこが良いと思ったの?」
と、隣の倫也が問いかける。
「うーん…たしかに。なんとなく“いいな”って思っただけかも」
自分の“なんとなく”を言語化することは、実は一番の思考訓練だ。
「直感的に良いと感じた理由を一緒に考えようよ」
そんな流れが生まれたとき、グループは“ただの共感”から“共有された納得”へと変わっていった。
グループワークでは、“賛成”も立派な意見になる──育てれば、もっと強く。
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