【第24話】「それ、前に言ってたよね?」の真価
「さっき言ったことと、少しかぶるけど…」
議論の途中、裕斗がそう言いながら発言しようとしたとき、周囲が微妙な表情になった。
その瞬間、「あ、それ前に言ってたよね?」と真っ直ぐに言ったのは結衣だった。
一瞬、空気が凍る。
だが彼女はすぐに続けた。
「でも、たぶん、その“前に言ってたこと”が、やっぱりこのテーマの核なんじゃないかなって思って」
思い出したように、全員がうなずく。
「たしかに、ずっとその視点に戻ってきてるよね」
それは「繰り返し」ではなく「軸」の再確認だった。
同じ言葉が何度も出てくるとき、それは“ぶれていない”というサインかもしれない。
グループワークは、“正しさ”よりも“重なり”に意味が宿る。
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