【第19話】“発言しない”という選択もある
グループディスカッションが始まり、メンバーたちは次々に意見を出していった。
その中で、一言も発しない千聖。
司会が「千聖さん、どうですか?」と振っても、「今は特に…」と控えめに返すだけ。
「何も考えていないのかな」と誰かが思った──そのとき。
終了後、企業担当者が言った。
「みなさんのやりとりを観察していました。発言の量ではなく、相手の話をどう受け止めているかが大事です」
千聖は終始、相手の目を見て、うなずき、メモをとっていた。その姿勢は確かに“参加”していた。
グループワークは、声の大きさで勝負する場じゃない。“聞く力”だって、立派な評価対象だ。
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