【第17話】自分の「ふつう」は、誰かの「すごい」
「このテーマ、難しいですね…」
議題は「新しい働き方」。みんながスマートに意見を出すなか、麻衣はなかなか言葉が出なかった。
ようやく発言したのは、終盤だった。
「私は、地元の商店街でアルバイトしてるんですけど、お客さんとの会話が仕事の一部で…。そういう“雑談”がある働き方って、案外大事かもって思いました」
静かに語ったその言葉に、メンバーが一斉にうなずいた。
「それ、いい視点ですね」
「確かに。デジタルじゃ代替できない部分かも」
麻衣が当たり前だと思っていた日常は、他の誰かにとっての“新鮮な気づき”だった。
グループワークでは、「特別な経験」よりも、自分の“ふつう”をどう語るかが、力になる。
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