【第16話】役割がなくても、価値はある
「じゃあ、進行は私がやるね」「発表は俺がいくよ」
テキパキと決まっていく役割分担。気づけば、春翔には何も残っていなかった。
「自分がいなくても、このチームは回るな……」
そう思ったとき、少しだけ胸がチクッとした。
でも議論が進むうちに、春翔は小さな「問い」を投げかけるようにした。
「それって、こういう意味?」「さっきの話とつながるかも」
気づけば、誰かの意見を深めたり、議論の流れをつなげたりしていた。
「春翔くんの質問、めっちゃありがたかった」
最後に言われたその言葉に、不意に胸があたたかくなった。
役割がないことは、無価値じゃない。自分にしかできない関わり方が、きっとある。
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