【第14話】「書く」ことで、つながる
話し合いが始まってしばらくしても、議論はどこかかみ合わなかった。
誰かが話せば誰かがかぶせ、意見の方向もバラバラ。焦る空気だけがテーブルを覆っていた。
そのとき、メモをとり続けていた奈々が、ノートをくるりと裏返して皆に見せた。
「今まで出た意見を、こんな感じで整理してみたんだけど──」
そこには、矢印とキーワードでつながれた図があった。
「この二つ、実は似てるかもって思って」
その図を見て、全員の視線が一点に集まる。そして「たしかに!」と、次々に反応が返ってきた。
“話す”ことばかりに集中していたグループが、“見る”ことで初めてひとつになった瞬間だった。
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