【第12話】“まとめる”ことは、決めることじゃない
「結局、どれにする?」
議論が白熱し、それぞれが意見を出し合ったあと、誰かがぽつりと言った。
全員が黙り込む。どの案も、それぞれに良さがあって、優劣をつけにくい。
そんな中、リーダー役の優斗が静かに口を開いた。
「どれもいい意見だと思う。だから無理にひとつに決めなくても、複数を組み合わせて新しい案にしない?」
その言葉に、場がふわっと和らいだ。
グループワークの「まとめ役」は、ひとつの正解を決める人じゃない。多様な意見の“間”に橋をかける人だ。
話し合いの最後、ホワイトボードに書かれた案は、チーム全員の色が混ざった、美しいグラデーションのようだった。
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