【第10話】気づける人が、空気を変える
「じゃあ、誰から話す?」
司会の声に、視線が交差する。誰もが譲り合って沈黙するなか、片隅の優衣が、小さな声で言った。
「…○○さん、さっき何か言いかけてませんでした?」
指された男子学生は驚きながらも、「あ、うん…」と話し出した。そこから流れが生まれ、全体の議論がやわらかく広がっていった。
誰よりも先に発言したわけじゃない。目立った役割もしていない。
でも、“誰かの声にならなかった声”に気づき、そっと拾い上げるその姿は、確かにチームを動かしていた。
グループワークで重要なのは、大きな声よりも、小さな変化に気づける力かもしれない。
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