2025年7月4日金曜日

就活におけるグループワーク)【第10話】気づける人が、空気を変える

【第10話】気づける人が、空気を変える


 「じゃあ、誰から話す?」

 司会の声に、視線が交差する。誰もが譲り合って沈黙するなか、片隅の優衣が、小さな声で言った。

 「…○○さん、さっき何か言いかけてませんでした?」

 指された男子学生は驚きながらも、「あ、うん…」と話し出した。そこから流れが生まれ、全体の議論がやわらかく広がっていった。

 誰よりも先に発言したわけじゃない。目立った役割もしていない。

 でも、“誰かの声にならなかった声”に気づき、そっと拾い上げるその姿は、確かにチームを動かしていた。

 グループワークで重要なのは、大きな声よりも、小さな変化に気づける力かもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿

就活物語「ボランティア経験が就活で光った瞬間」

就活物語 「ボランティア経験が就活で光った瞬間」  キャリアセンターにやってきた四年生のハルト君。自己PRについて相談を受けたとき、最初は「特に目立った経験はありません」と言っていた。  ところが、雑談の中で「地域の清掃ボランティアを2年間続けている」と口にした瞬間、私は耳を傾け...