就活物語
「名前を覚える子」
インターン初日の朝、オフィスの空気は少し緊張気味だった。そんな中、真っ先に私に挨拶をしてきたのが、ミホさんだった。「○○部の佐藤さんですよね? 今日からよろしくお願いします!」と名前を添えて言われた瞬間、私は驚いた。
インターン前に会社の組織図を渡していたが、それを見て本当に覚えてくる学生は少ない。名前を覚えるという行為は、小さなようで大きな心配りだ。私たち社員は日々の業務で忙しくしているが、その中で「覚えようとしてくれている」と感じると、自然と距離が縮まる。
さらに彼女は、同じ部署の先輩にも「○○さんの資料、すごく分かりやすかったです」と笑顔で伝えていた。言葉にされると、人はやはりうれしい。職場という場で大切なのは、仕事の能力だけではなく、コミュニケーションの積み重ねだということを、彼女は自然に体現していた。
最終日のふりかえりで、彼女はこう言った。「私は人の名前を覚えるのが得意ではないのですが、今回は絶対に覚えてから来ようと思って頑張りました。」努力の裏側を聞き、心から「一緒に働きたい」と思った。
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