2025年6月28日土曜日

就活物語「名前を覚える子」

就活物語
「名前を覚える子」


 インターン初日の朝、オフィスの空気は少し緊張気味だった。そんな中、真っ先に私に挨拶をしてきたのが、ミホさんだった。「○○部の佐藤さんですよね? 今日からよろしくお願いします!」と名前を添えて言われた瞬間、私は驚いた。

 インターン前に会社の組織図を渡していたが、それを見て本当に覚えてくる学生は少ない。名前を覚えるという行為は、小さなようで大きな心配りだ。私たち社員は日々の業務で忙しくしているが、その中で「覚えようとしてくれている」と感じると、自然と距離が縮まる。

 さらに彼女は、同じ部署の先輩にも「○○さんの資料、すごく分かりやすかったです」と笑顔で伝えていた。言葉にされると、人はやはりうれしい。職場という場で大切なのは、仕事の能力だけではなく、コミュニケーションの積み重ねだということを、彼女は自然に体現していた。

 最終日のふりかえりで、彼女はこう言った。「私は人の名前を覚えるのが得意ではないのですが、今回は絶対に覚えてから来ようと思って頑張りました。」努力の裏側を聞き、心から「一緒に働きたい」と思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿

現場の学び「学生の質問が仕事を止めるとき」

 忙しい現場で、学生に声をかけられた。 「この作業、どうしてこの順番なんですか?」  一瞬、手が止まる。 考えたこともなかった問いだった。  説明しながら、自分の中の“当たり前”を見直す。 無駄な工程や、改善できそうな点にも気づいた。  学生の質問は、現場を止める。 でもそれは、...