【第40話】たった一人に届けば、それでいい
「こんな内容、誰が読むんだろう…」
夜遅く、志望動機を書きながら、真央はふと手を止めた。
自分の思いを一生懸命言葉にしたけれど、なんだか空回りしている気がする。企業は何百人、何千人と応募者を見る。その中の一枚が、果たしてちゃんと読まれるんだろうか。
でも──思い出した。以前、インターンの選考後、担当者から言われた一言。
「あなたの文章、すごく伝わってきました」
その言葉に救われたあの日。そうだ、たった一人にでも、届けばいい。ちゃんと読んでくれる人が、きっといる。
真央は、もう一度文章を整え、画面に表示された「送信」ボタンをそっと押した。
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