就活物語
「聞く力のある子」
今回のインターンで、私は一人の“聞き上手”に出会った。
ミサキ。最初は正直、目立たない学生だった。発言も控えめで、声も小さい。だがある日、担当社員が話しているとき、彼女が熱心に頷きながらメモを取っているのが目に入った。
ふと、話を終えた社員が彼女に言った。「さっきの話、どの部分が気になりました?」
ミサキは、少し考えてから答えた。「お客様が“本当は何に困っているか”を探る大切さ、です。話の背景を聞くって、すごく難しいと思いました。」
それを聞いた社員の目が変わった。
彼女は、ただ話を聞いていたのではなかった。言葉の裏側にある“意図”や“背景”まで考えていたのだ。それは、営業の現場で最も大切な“傾聴力”につながる感覚だった。
最終日のふりかえりでも、彼女は控えめにこう語った。
「自分は話すのが得意じゃないけれど、人の話を深く聞くことなら、誰にも負けないようにしたいです」
企業にとって、話す力だけが武器じゃない。聞く力を持つ人が、チームを支える柱になることがある。
私は迷いなく、彼女の名前に〇をつけた。
静かな“本物の力”を感じたからだ。
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