就活物語
「空気を変える力」
今回のインターンシップで、最も印象に残ったのはユウトだった。
彼は特別にプレゼンが上手かったわけでも、知識が抜きん出ていたわけでもない。ただ、一つだけ違ったのは「場の空気を変える力」を持っていたことだ。
グループワーク初日、どこかぎこちない空気のなかで彼は「せっかくだし、最初に自己紹介しません?」と声をかけた。おかげでその場は一気に和み、参加者たちも少しずつ会話が生まれた。あれがなければ、そのチームは最後まで沈黙のままだったかもしれない。
ワークの途中でも、誰かのアイデアに「それ、いいですね」と必ず肯定から入る。間違った意見でも、批判はせずに視点を足して広げていた。ユウトがいるだけで、チームが前向きになるのを私は何度も目にした。
成果発表の後、他の学生たちが席に戻るなか、ユウトは最後まで会場の片付けを手伝っていた。その背中を見ながら、私はこう思った。
「一緒に働くなら、こういう人がいい」
スキルはあとから身につければいい。でも、人を前向きにする力は、簡単には身につかない。ユウトはそれを、自然体でやってのけていた。
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