就活物語
「失敗を糧にする子」
五日間のインターンシップの中で、たった一度のミスが、その学生の印象を大きく変えた。
彼の名前はヒロト。素直で明るく、初日から社内にもすぐ溶け込んだ。だが三日目、提出物のデータ形式を間違え、チーム全体の進行が一時止まってしまった。正直、現場からは「大丈夫か?」という声もあった。
その日のうちに、ヒロトは自分から謝りに来た。
「すみません、確認不足でした。でも、次からは必ずチェックリストをつけて確認してから提出します。」
口先だけの謝罪ではなかった。翌朝には自作のチェック表を印刷して、デスクに貼っていた。周囲にも「何かあったら教えてください」と声をかけていた。
ミスをしても、人はそこで終わりではない。その後どう行動するかで、人としての信頼は回復できる。いや、むしろ強くなる。
最終日には、ヒロトの周りに社員が自然と集まり、彼の提案に耳を傾けていた。彼は、失敗を“学び”に変える力を持っていたのだ。
「また一緒に働きたい」
そう思わせてくれたのは、完璧さではなく、“成長を止めない姿勢”だった。
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