2025年6月15日日曜日

就活物語「名脇役の光」

 就活物語
「名脇役の光」


 インターン最終日の成果発表。五人のチームがプレゼンを行う中、どうしても目が引かれる学生がいた。

 それがユイだった。

 彼女は発表のメイン担当ではなかった。プレゼン中も後方で控えめに立っていた。だが、資料作成のとき、誰よりも遅くまで残って構成を整えていたのは彼女だった。討論中、議論が詰まったときに「一度視点を変えてみよう」と促したのも、彼女だった。

 前に立って話す人が目立つ一方で、彼女のように“周りを支える力”を持つ学生は、実は職場で最も必要とされるタイプだと私は思っている。

 発表後、他の学生が拍手を浴びる中、ユイは静かに片づけを始めていた。そんな姿を見て、私は記録メモの欄にこう書いた。

 「控えめだが、チームの要。必ず組織に馴染む。」

 リーダーばかりが採用されるわけではない。“縁の下の力持ち”という言葉を、彼女は自分の行動で証明していた。

 一緒に働きたいのは、そういう「目立たないけど頼れる人」でもあるのだ。

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